(写真・神奈川新聞社)
横浜市内の百貨店で、地元色を強く打ち出した商品の売れ行きが好調だ。景観をイメージしたものや地元企業が手掛けるオリジナル商品、ギフト用の特産品などが人気という。エリア間の競合激化などで百貨店運営に独自性が問われる中、地域の特色を生かした商品を企画したり、イベントを展開したりしながら、地元志向の強い顧客の需要に応えている。
「横浜の海と港を連想させる青や白の商品が支持されている」と話すのは、そごう横浜店の担当者。カシミヤセーターや、老舗スカーフメーカー「丸加」(横浜市南区)とコラボレーションした「横濱スカーフ」など、青を基調としたものがよく売れているという。
2015年の開店30周年に合わせ製作した横浜の景観が描かれたバカラグラスは、同年8月~17年1月まで計画比5割増の750点を販売。15年以降、中元・歳暮で強化している地元名産品コーナーの売り上げも前年比1~2割増となるなど好調に推移している。
3月から今月中旬まで、横浜がモチーフの商品などを全館に集めた企画「LOVE YOKOHAMA」を展開する横浜高島屋。横浜の港や夜景をあしらった同店オリジナルのふろしきや地ビールなど、多彩な商品で「横浜ファン」の消費を刺激する。雑貨や小物などを販売する横浜グッズ売り場の3月1~29日の売り上げは、前年同期比6.4%増。地元企業のジュエリーや洋菓子もプラス伸長している。「各売り場に横浜店専属のバイヤーを配属し、地元の需要に見合った商品開発や品ぞろえを実現する体制を整えている」と担当者は話す。
京急百貨店でも、食品フロアを中心に近隣からの来店客が多く、地元の和菓子専門店「横濱しげた」の「上大岡あんぱんまんじゅう」といった同店のオリジナル商品が好調。ギフトや帰省時の土産需要が活況という。学生や地域とのコラボ企画やオリジナル弁当の販売など、地域に根ざした取り組みも積極展開する。
他のエリアに比べ、横浜店の顧客は地元志向が強いと実感する各店。その理由を「自然や歴史を感じる街並みに心地よさを感じ、充実したライフスタイルを送っているのでは」(そごう横浜店)、「戦後の空き地の状態から街が発展したため、その歴史を知る昔からの住民の愛着が人一倍強い」(横浜高島屋)などと分析する。
地元色が濃い商品は売り上げ増につながる貴重な商材であるとして、各店は今後も横浜らしさを前面に出した商品の提案や独自製品の開発、特産品販売を強化していくという。