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(写真提供:環境省/神奈川新聞社)

 

横浜でも確認された南米原産で強い毒性を持つ「ヒアリ」。対策に追われる国や自治体が注目するのが、外来アリの代表格「アルゼンチンアリ」をほぼ根絶した横浜港の実績だ。在来種を守りながら駆逐を進め、「適切な封じ込め」に成功。横浜港でのヒアリ駆除も「当時の経験やノウハウが生かせる」と横浜市の担当者は自信を見せる。

 

特定外来生物のアルゼンチンアリは1993年に広島県で初めて発見。国立環境研究所によると、現在までに1都2府9県で定着が確認されている。

 

横浜港では2007年に同市中区の本牧ふ頭A突堤で初確認。土地を管理する横浜港埠頭公社(現・横浜港埠頭株式会社)から委託を受けた東京大学が08年4月から防除活動を行った。

 

第1段階は、生息域内の道路沿いや建物の周囲にベイト剤と呼ばれる殺虫成分を含む餌を設置。巣に持ち帰らせて巣内のアリを全滅させることを狙った。市街地への生息範囲拡大を抑えるとともに、殺虫剤散布に比べて環境や人への影響を減らす効果もあった。

 

続いて、「道しるべフェロモン」をたどって餌を求めて行列をつくる習性を利用し、生息域の境界付近に人工的に合成したフェロモン剤を置いて撹乱(かくらん)し、活動を抑え込んだ。在来種にはほとんど影響がないことが採用の決め手となった。

 

ベイト剤とフェロモン剤を併用し、殺虫剤を補助的に使った結果、1年間で約80%の対象区域から駆逐に成功。08年秋ごろから在来種が回復してきた。環境省は「世界中の多くの地域で侵入が見られる中で、防除の成果がこれほど上がった例は大変まれ」と高く評価する。

 

港湾区域や周辺の公園は近年、市民の憩いの場や貴重な親水空間となっている。強い毒性を持つヒアリの対策が遅れれば健康被害の拡大に加え、駆除に要するコストが膨らむ恐れがあり、対応が急がれる。

 

市港湾局は「アルゼンチンアリの実績を基礎に、適正な計画的防除を行えば根絶できる」。市環境創造局は「国立環境研究所と連携し、過去の実例を参考に適切に対応を取りたい」と話している。

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