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(写真・神奈川新聞社)

 

高校の部活動のあり方を考えるシンポジウムが18日、横浜市中区内で開かれた。長時間の活動が常態化して生徒も教諭も疲弊しているケースがあることに対し、「ゆとりを持って取り組める部活動に変わるべき」との意見が相次いだ。

 

県立高校教諭らが研究員を務める教育研究所などで組織する県高校教育会館の主催で、教諭や市民ら約80人が参加した。

 

「持続可能な部活動とは? 望ましい部活動のあり方を探る」と題したシンポでは、著書「ブラック部活動」(東洋館出版社)で知られる名古屋大大学院准教授の内田良さん(教育社会学)が講演した。学習指導要領では生徒の自主的活動とされる部活が肥大化し、過熱している現状を説明。活動日を週3日程度に抑えて「勝利を最優先する『競争の論理』ではなく、ゆとりを持って楽しむことができる『居場所の論理』を中心に据えるべき」と訴えた。

 

県立小田原高校校長の反町聡之さんは「高校生は本を読んだり、人生のことを考えたりする大事な時期。平日に1日以上休んだり、土日のいずれかを休みにしたりするなどして、生徒も教員も負担を減らす取り組みを進めたい」と語った。

 

テニス部顧問の県立高校教諭は、1カ月以上休みが取れない長時間労働が一部の若手に集中し、教員間で負担の格差がある現状を指摘。部活で家庭を犠牲にする働き方を問題視し「将来働いて家庭を持つことになる生徒たちに対し、仕事と生活のバランスをうまく取るための見本を教員こそ示さなければならない」と強調した。

 

県立高校PTA連合会の関係者は「教員ではない外部指導者の中には高圧的な指導をする人がいるが、生徒から『おかしい』という声は上げにくい。生徒の心の面にも配慮した指導をすべきだ」と指摘した。

 

大学生や専門学校生も高校部活動の経験を語った。

 

千葉県の市立高校で吹奏楽部に入っていた専門学校生の女性は「休みがほとんどなく、睡眠時間は多くて4時間。授業中は眠くて仕方がなく、教室では先生から『やる気がない』と誤解されていた」と打ち明けた。

 

当時は、強豪校という伝統を崩したくない気持ちで打ち込んでいたが、「今思えばやり過ぎだったと思う。家族と過ごす時間が全くなく、もっと一緒にいたかった」と悔やんだ。

 

「いま思えばブラック部活だった」と振り返ったのは、神奈川県立高校で吹奏楽部に所属した私立大4年の女性。午前5時に起床して朝練をこなし、昼休みも練習。放課後は午後7時まで活動していたという。

 

県立高校でテニス部員だった私立大3年の男性は部活動の意義について「目標に向かって努力したり、周囲との協調性を身に付けたりすることができる」とした上で、問題点としては「休みが週に1日しかなく、勉強する時間が削られた」ことを挙げた。

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