(写真・神奈川新聞)
建て替えの方針が示されていた藤沢市片瀬海岸の小田急線片瀬江ノ島駅について、小田急電鉄は12日、現在の竜宮城の雰囲気を踏襲した上で全体を新築する計画を発表した。来年2月に着工し、江の島でセーリング競技が開かれる東京五輪に合わせ、2020年5月の完成を目指す。
朱塗りに緑色の屋根という現駅舎の印象を継承しつつ、より本格的な社寺建築である「竜宮造り」を、宮大工の技術で実現する。しっくい風の白いアーチの上に、木製の軒、入り母屋の屋根を組み上げた様式で、姿は江島神社にも通ずる。構造は鉄骨造となる。
事業費について同社は「他の事業との兼ね合いがあるので公表は差し控えたい」としている。
同駅を巡っては、五輪会場の最寄り駅であることから、市が都市計画道路の拡張や駅前広場の整備を計画し、それに伴い建て替えの方針が出されていた。
現駅舎は1929年、小田急江ノ島線の開業と同時に完成。江の島の竜神信仰を反映した竜宮城のようなユニークなデザインで、国土交通省の「関東の駅百選」に入るなど、住民や観光客に親しまれてきた。
構造は木造で、近年は雨漏りなど老朽化が目立ったが、耐震性に問題はないという。駅舎本体の解体は2019年1月に始まる。
同社の岩田基成工務部長は「駅ビルにする案もあったが、片瀬江ノ島駅は特別な存在であり、できるだけ今の雰囲気を残そうという結論に至った」と説明。「国際観光地にふさわしい駅にしたい」と話した。
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