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阿嘉島・慶留間島の水源枯渇の恐れを受けて、島に搬送される可搬型海水淡水化装置(沖縄県企業局提供)

 

離島の上水道事情を改善するため沖縄県企業局が2020年度までに、座間味村の阿嘉島に常設の海水淡水化施設を整備する方針であることが7日分かった。

 

今夏も阿嘉島では降水量の少ない状態が続いているため、県企業局では移動式の海水淡水化装置の貸与を6日に決めていた。常設の海水淡水化装置について、県企業局は20年度までに伊是名島にも新たに整備し、沖縄本島周辺の離島でも順次既存装置を更新する方針だ。離島の不安定な給水状況の解消が期待される。

 

阿嘉島の常設型海水淡水化装置の整備について、県企業局は今月、県内の設計コンサルタント会社と契約した。今後、実施設計を進め規模や処理能力など詳細を詰めていく。

 

本島周辺の離島で現在常設型の海水淡水化施設を設置しているのは南大東、北大東、渡名喜、粟国、座間味の5島。県企業局はこのうち、南大東、北大東の両島の施設を20年度までに全面更新を図るほか、渡名喜、粟国の両施設についても22年度以降に電気設備などの更新をする予定。

 

浄水場についても、伊平屋や渡嘉敷、座間味の各島で20年度までに更新していく。常設型の海水淡水化装置や浄水場の整備・更新には、沖縄振興公共投資交付金(ハード交付金)を活用する。

 

離島の水道事業は沖縄本島と比べ脆弱な環境にある。水源に恵まれない地域も多く、降水量の少ない状態が続くと、自前での水道用水の確保が困難になりやすい。事業規模や施設の維持管理面などから水道料金も割高となり、本島との格差是正も課題の一つとなっている。

 

そうした状況から、県と県企業局は、本島周辺の座間味、渡嘉敷、粟国、渡名喜、南大東、北大東、伊平屋、伊是名の離島8村と、水道広域化に向けた取り組みに関する覚書を14年11月に締結した。県企業局は20年度までにこれら8村で水道供給を開始する予定。

 

県企業局はこうした離島の水不足にも備えるため、今年3月に船舶で輸送可能な「可搬型海水淡水化装置」を2台導入。1台で1日に200立方メートルの淡水をつくることができ、今月下旬に阿嘉島に貸与し初めて本格稼働させる。(村上一樹)

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