イラスト・小谷茶(こたにてぃー)
9月11日、東京の山手線神田駅で男性が背負っていたリュックサックから火と煙が出る事故が発生しました。この事故を受けて、山手線は一時運転を見合せるなど影響がでましたが、幸いケガ人はいませんでした。
発火の原因は男性がリュックの中に入れていた「モバイルバッテリー」でした。
モバイルバッテリーは持ち運びができる充電器で、スマートフォンやタブレットなどを充電することができます。
使い方は簡単。まずはモバイルバッテリー本体を充電し、電気を溜めます。
電気を溜めたモバイルバッテリーをつなげることで、スマートフォンなどを1〜7回充電することができます。(スマホ電池容量、モバイルバッテリーの電池容量によって回数は変化します)
スマートフォンに頼りすぎた生活をしていると電池切れが怖くなるので、モバイルバッテリーは大切な「相棒」として愛用している人も多いと思います。
しかしながら、選び方や使い方を間違えると簡単に発火するので、取り扱いは気をつけなければいけません。
本当は怖い「リチウムイオン電池」
スマートフォンやモバイルバッテリーは充電することで繰り返し使うことができます。これはリチウムイオン電池のおかげです。
リチウムイオン電池はコンパクトなボディに、大容量の電気を溜めることができます。
携帯電話・スマートフォン、そしてノートパソコン。最近では電気自動車などにも使われています。
一般的に、電子機器が進化してマシンパワーが上がると、バッテリーの使用量も増えることになります。そうなるとリチウムイオン電池のように「コンパクト大容量」のバッテリーは重宝されます。
しかしながら、コンパクトボディに大容量の電気を溜め込むことができるということは、言い換えると「エネルギーの塊」という事です。
強い衝撃を与えたり、高温環境で負荷をかけて使うと、発火したり、爆発したりします。
昨年、韓国のサムスン電子が発売したスマートフォン「Galaxy Note 7」(注:日本未発売)のバッテリーが発火する場合がある、として世界中でリコールされたニュースを覚えている方も多いと思います。
Galaxyシリーズは、世界的に人気のスマートフォンいうこともあり、大きな話題となりました。
サムスンの欠陥新スマホ販売中止 電源切り使用停止要請
(https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-372995.html)
Galaxy Note 7の発火の原因もリチウムイオン電池でした。気合の入った新機種、薄型ボディにハイパワーのCPU、そして大容量バッテリー…。ユーザーの期待に応えようと“張り切りすぎた”結果、構造に無理が生じて発火する事態となったのです。
補足すると、サムスンは自社でバッテリーも手がける世界トップレベルの技術を持っています。「サムスンでさえも、発火してしまうのか…」と報道を見てとても驚き、リチウムイオン電池の危険性を再度実感しました。
サムスン、バッテリー欠陥と結論 スマホ発火
(https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-431944.html)
リチウムイオン電池を取り扱うメーカーは、こうした危険性を十二分に承知しているので、燃えないようさまざまな対策を取っています。
内部に不燃性素材のパーツを使う、熱がこもらないように設計を工夫する、などです。
手軽に端末を充電できるモバイルバッテリー自体も人気が高まり、いろいろなメーカー・製造元が取り扱うようになりました。
いろいろと調べていると、信じられないくらい安い価格で売られているモバイルバッテリーも出てきています。「販売価格が高ければ大丈夫」という話でもありませんが、命に関わる可能性もある電池まわりの製品は、しっかりと製造元を意識して買う必要があるでしょう。
また、どれだけ安全に作られているモバイルバッテリーでも、使い方ひとつで大事故につながります。
強い衝撃を与える、破損した状態で使うなど、エネルギーが制御できないような状態で使うと、発火リスクが高まります。
また、熱がこもるような使い方もモバイルバッテリーに負担がかかります。
直射日光にあたる、ストーブの近くで使うなど、高温になるような状況は特に気をつけましょう。
繰り返しますが、発火すると命を落とす可能性もあるため、モバイルバッテリーや充電コードは信頼できる販売元のものを選び、消費者自身も負担をかけずに適切に使うよう心がけましょう。