ゆいまーる鉱山第2号井の掘削予定地で調査の安全を祈願する(右から)祭温の大見謝恒慈路社長、合同資源の舘良男社長、総合開発の根本新太郎社長=9日、西原町兼久
資源・化学メーカーの合同資源(東京、舘良男社長)とエネルギーコンサルタントの祭温(那覇市、大見謝恒慈路社長)が5月から西原町内で進めている地下資源の試掘調査で、水溶性天然ガスを確認した。天然ガスを分離した水に含まれるヨウ素も検出しているという。本島南部の地層には相当量の水溶性天然ガスの埋蔵が確認されてきたが、那覇市東部から与那原町にかけて横断する首里断層より北側で存在を確認したのは初めてとなる。
水溶性天然ガスが出たのは、両社の天然ガス共同鉱区である「ゆいまーる鉱山」のうち西原町小那覇に掘削した第1号井。5~9月に約1485メートルの深度まで掘削し、くみ上げた地下水から天然ガスやヨウ素が検出された。今後、天然ガスやヨウ素の潜在的な総量や成分などを把握する生産テストに入る。
9日には西原町の東崎公園地先で第2号井の開坑式を開き、新たな掘削試験の準備に入った。第2号井では、ヨウ素濃度がより高くなると考えられる浅い深度も調査する。
開坑式に参加した舘社長は「首里断層より北の地域の天然ガスや鹹水(かんすい)(ガスなどを含んだ地下水)、ヨウ素の量、濃度を計測していく。調査結果を断層南側のデータと比較しながら、事業化の可能性があるかを示していきたい」と話した。
合同資源と祭温は年度内に第2号井の掘削を終え、2019年3月まで2地点の埋蔵資源についてデータの収集・分析を進める。大見謝社長は「周囲に大型MICE施設の建設も予定される中で、水溶性天然ガスはエネルギーの地産地消や観光などさまざまな形でまちづくりに活用できる」と語った。
水溶性天然ガスは、通常500~2千メートル程度の地層から採取できる。エネルギー源とするほか、ガスを含んだ地下水が地熱で温められて温度が高いことから、熱交換利用や温泉施設に活用する例もある。ヨウ素は、うがい薬など医療分野のほか、液晶テレビの偏光フィルムの素材などに利用され、ヨウ素の量によっては新産業に結び付くことも期待される。