まずはやること、そして続けること
FECオフィス 代表取締役社長 山城 智二さん
1993年春に事務所を設立、約半年後の10月に旗揚げした「演芸集団フリーエンジョイカンパニー」(通称・FEC)。現在は所属芸人50名を抱えるプロダクションとなり、25周年を迎える今年は記念イベント開催、音楽レーベル「Qwacchi-Noiz(クヮッチーノイズ)」でメジャーデビューを果たすなど、華々しい話題がたっぷり。社長の山城智二さんに、思い出や現状などを語ってもらった。
徹底的に沖縄にこだわり、目の前のウチナーンチュを笑わせるにはどうしたらいいかと、常に考えている山城さん。普段の話し言葉を使い、身近な話題をお笑いのネタに変換する。
「兄の残したモットー『まずはやること。そして続けること』を指針に、沖縄のお笑い界の確立を目標にしています。自分たちの根元を掘り起こして独自のお笑いをつくり上げられたら、全国レベルで勝負ができると思っているんです」
FECの創業者・山城達樹さんは、大学のサークル活動からお笑い団体を結成し、県内お笑い界を盛り上げようと未来を見つめていた。その先頭を走っていた中、過労のために志半ばの20代で急逝。弟の山城智二さんが、その後を継ぐことに。
「急に事務所運営をすることになり、葛藤の日々が2年くらい続きました。でも自分にできるのはFECのことだけ。次第に兄の夢を理解し、会社組織で人材やコンテンツを育てていく楽しみができ、気持ちが楽になったんです」
護得久栄昇(ごえく えいしょう)が全国デビュー
軸となる定期公演「お笑い劇場」、人材発掘の「フレッシュお笑い選手権」など、「基本活動は全て兄が作り、25年続けているんですよ」とほほ笑む山城さん。つらい時代を共に乗り越えてきた仲間への感謝も忘れない。
「ヒット舞台『お笑い米軍基地』を手掛ける小波津正光は、24時間面白いことを考えている男。芸人として一生を過ごすと覚悟し、兄の達樹イズムを継承しています」とたたえる。
人気沸騰中の「護得久栄昇」を生み出したベテランコンビ・ハンサムについては「粘り強くコツコツ続けるすごさを、見せ付けられた。経験の蓄積があってこそ、県民に響くキャラクターに成長したと思っています」
25周年となる今年、大手レコード会社からアルバムを発売するのも大ニュースだ。
「お笑いと音楽は相性がいいと昔から思っていました。クレイジーキャッツさん、ドリフターズさんはミュージシャンですから。音楽で笑いを表現したいと考えていたら、音楽業界経験者が入社し制作が進みました」と山城さん。その縁を不思議に感じるという。
「兄は亡くなる直前に、コンビ名のファニーズでCDデビューしました。その曲を収録し、夢を引き継いだ気分でうれしいです」
劇場運営を視野に今後の展望を聞くと、「劇場運営を目指していきたい」とのこと。
「ホームグラウンドである舞台を持ち、基盤を強めたい。その思いを本気でかなえる作業を進めますよ」と目標を掲げる。
「舞台に立ち、観客の笑いを取ることに全力を注ごう、と若い世代に伝えていきます」と笑顔で語る山城さん。社長でありながら芸人を続け、俳優としての活躍も広げる姿は、全芸人の憧れともいえる存在だ。達樹さんに見守られながら、「MADE in うちなー・MADE in FEC」を合言葉に今日も前に進んでいる。
(饒波貴子)
◆CDアルバム「クヮッチーノイズ」 VICL-65065
10月31日発売/2500円(税抜き)
島唄ナゾの巨匠・護得久栄昇を筆頭に、原点コンビのファニーズ、大兼のぞみ with.DJレイコ、アザラシ、ハイアップロー他、FECの笑いと音楽が詰まったオムニバス・アルバム。
問い合わせ:Victor Entertainment
☎︎ 03-5467-6258
◆演芸集団FEC 25周年祭
11月4日(日)13時開場/14時開演(夕方終演予定)
会場:宜野湾海浜公園屋外劇場
※入場無料! FEC芸人総出演の、歌あり踊りあり、笑いなし?(ウソ)のビッグイベント。
(10月20日(土)の「お笑い劇場特別版」は、好評につきチケット完売)
問い合わせ:FECオフィス
☎︎ 098-869-9505
(2018年10月18日付 週刊レキオ掲載)