加工肉文化を沖縄に
沖縄市のコザゲート通りに店を構える加工肉専門店「TESIO(テシオ)」。ハムやソーセージをはじめとするバラエティー豊かな商品を扱っている。オーナーの嶺井大地さんは、県外で出合ったヨーロッパ製法の加工肉に魅せられ、食肉加工技術を習得。故郷沖縄に戻り、昨年店をオープンさせた。「自らの感性でいくらでもバリエーションを広げることができる」という嶺井さん。沖縄で加工肉文化の普及に挑む。
ソーセージ、ハム、ベーコン、ローストポーク、レバームース…。ショーケースには数々の加工肉が並ぶ。ここは沖縄でも珍しい自家製ハム・ソーセージ専門店「TESIO(テシオ)」。文字通り、手塩にかけて作られた自慢の味を生み出している。
TESIOは2017年6月のオープン以来、県外のイベントに出店したり、全国メディアでも取り上げられたりする機会に恵まれ、注目を浴びるように。地元客の他にも、県外から取り寄せてくれる多くのリピーターに支えられてきた。
オーナーの嶺井大地さんが食肉加工の職人になったきっかけは8年前。訪れた京都でシャルキュトリ(フランス語で食肉加工品)と出合った。
もともと県内の飲食業界で料理に携わっていた嶺井さん。「自分の店を持ちたい」と漠然と思いつつも、その手段について思い悩んでいたとき、シャルキュトリの専門店「LINDENBAUM(リンデンバーム)」に行き、衝撃を受けた。「沖縄では専門店でソーセージを買うという習慣がない。これを学んで店をオープンすることができたら、僕が今感じているような感動を示すことができるんじゃないかと感じ、『これだ』と思った」。すぐに学びたいと門をたたいた。
名店で技を学ぶ
半年間学んだ後、店主に静岡にある「グロースヴァルトSANO」を紹介された。食肉加工の世界的な大会で、頂点に立つなど、ドイツ製法の草分け的な店だ。そこで、3人目の弟子として3年半修行に励んだ。「職人の兄弟で運営している店で、師匠がいきなり2人(笑)。厳しさも2倍だったが、刺激的で実のある学びをさせてもらった」と話す。
ドイツ式製法のソーセージ作りは、新鮮な肉をナイフでさばくことから始まる。赤身と脂身に分け、ひき肉にしたら、赤身と脂身の配合を計算し、塩、スパイス、氷を加えて練り上げ、クリーム状の生地に。それを腸詰めにしていぶすと、口当たりが滑らかなぷりっとしたソーセージが完成する。専用の機械とノウハウが必要な手間がかかる作業だ。
日々楽しみながら挑戦
モットーは「楽しむこと」という嶺井さん。レギュラー商品の他、季節の素材を取り入れたり、外国の郷土料理にヒントを得たメニューを取り入れたりと、スタッフと楽しみながら商品開発を行っている。「ただおいしいソーセージを出せばいいのではなく、ユニークな提案ができないかと常々考えている。大変だけど毎日が挑戦でやりがいがある。TESIOならではの価値作りができれば」と語る。
挑戦を楽しんでいる嶺井さん。まだまだ可能性は広がりそうだ。
(坂本)
TESIO
沖縄市中央1-10-3 1F
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
098-953-1131
http://tesio.okinawa/
(2018年12月13日付 週刊レキオ掲載)