沖縄の食卓の定番であるポーク卵が、さまざまな具材との組み合わせを楽しむ手軽なサンドおにぎりに進化し、沖縄観光の人気食として専門店が県内各地に拡大している。できたてを提供する専門店の“元祖”として、人気の火付け役となった「ポークたまごおにぎり本店」(那覇市)は、2号店の那覇空港店が月に約1900万円を売り上げるなど行列が絶えない。各飲食店の参入で具材も多彩になり、1個1300円の高額なブランド商品も登場している。
ポークたまごおにぎり本店は、2014年7月に那覇市松尾の第一牧志公設市場に開店。同市場で長年カフェを経営していた清川勝朗代表が、市場で働く人たちが仕事の片手間に食べることができる料理をと始めたのがきっかけだ。
注文を受けてから作るできたてにこだわり、清川さんは「当時はポーク卵おにぎりの専門店はまだ誰もやっておらず、新しいことに挑戦したかった」と話す。
口コミで評判を呼び、2年前にはカフェを閉めポーク卵おにぎりに力を入れた。連日開店30分前の午前6時半から、朝食を求める観光客を中心に20~30人の行列ができるほどだ。
17年5月に那覇空港店、同9月に北谷アメリカンビレッジ店を出店。昨年12月にはついに沖縄を飛び出し、福岡市にフランチャイズ店がオープンした。欧米人客も多い北谷店では豚カツのトッピングやタコライス風、福岡市ではめんたいこ入りなど、地域のニーズに合わせた商品を店舗ごとに開発している。
開店当初は1人でカフェと掛け持ちだったのが、今では約100人の従業員を雇用する。松尾の本店近くに調理法を指導する研修センターも構えた。清川さんは「今年中に海外に1店舗を出したい」と意気込む。
清川さんの店舗を皮切りに、できたてのポーク卵おにぎりを提供する飲食店が増えている。瀬長島ウミカジテラス内の沖縄料理店カメズキッチン(那覇市)は、昨年12月にポーク卵おにぎりをメニューに導入した。このうち沖縄のブランド牛・山城牛を挟み込んだポーク卵おにぎりは数量限定の1300円と値が張るが、外国人客を中心に多い時は1日20個は売れるという。
ポーク卵おにぎりは定食と比べると調理時間が半分と短く、食器を片付ける手間も省ける。大型クルーズ船客が大挙する瀬長島で、作業の効率化のため今後はメニューを全て定食からポーク卵おにぎりに切り替えるという。
カメズキッチンを運営するK.Turtlesの武藤京美代表は「作業を軽減して、喜んでもらえる商品を考えていたらポーク卵に行き着いた。沖縄の食材を発信したい」と話した。