ドイツ出身のウォルフラム・オーピッツさん(58)と千葉県出身の戸村由香さん(53)夫妻が、沖縄県那覇市首里池端町の龍潭通り沿いで、ジャーマンスタイルの本格的な自家製クラフトビールの製造、販売を始める。既にビール製造と販売に必要な免許を取得し、醸造設備や貯蔵タンクなどを店舗内に設置した。7月末から8月頭をめどにビールの提供を開始する。
店舗名は「ウォルフブロイ」と付けた。表はカフェバーの形式でカウンターやテーブルを備え、奥に工場を併設する。麦芽やホップからビールを製造する設備と、800リットルと1600リットルの貯蔵タンク計8基を備える本格的な施設だ。ビールは店舗で提供するほか、たるに詰めてバーやホテルに卸したり、瓶詰めで小売りしたりする計画もある。
クラフトビールは小規模の事業所が造る多種多様で個性の強いビールを指し、ドイツでは地域ごとの醸造所や家庭で簡易なビールを造る伝統がある。沖縄でも近年は那覇市や沖縄市、北谷町などの計8事業所で造られており、静かなブームが広がっている。
オーピッツさんはスイスに本社を置く外資系企業に勤めており、約10年前に日本支社長に就任した。元々ビールが好きで、休日を利用して醸造所に通って仕事を手伝うなどしており「いつかは自分でビールを造りたい」と夢を描いていた。
沖縄にはたびたび夫婦で旅行に訪れていたこともあり、気候や風土に引かれて「沖縄でビール造りを始めよう」と移住を決意。2018年に会社を退社し、ドイツの有名なビールアカデミーで研修を受けた。
オーピッツさんがビール造りを学ぶ間、戸村さんは一足先に沖縄に移り住み、店舗兼工場の物件を探した。戸村さんは「首里は歴史文化が深く、泡盛の酒造所があるなど酒所として有名でここに店を出したいと考えていた」と語った。
オーピッツさんは「『ヴァイツェン』や『アルト』などドイツを代表するビールを製造する。沖縄の食材を取り入れたビール造りにも挑戦したい」と思いを語った。
(外間愛也)