「これ、ピカチュウじゃない?」。摩訶(まか)不思議な生き物が本島北部の漁港でこのほど見つかり、動画が投稿されたインターネット上で物議を醸している。その姿は、テレビゲームやアニメなどでおなじみのポケモンの人気キャラクター「ピカチュウ」にそっくりだと話題だ。
発見者で動画投稿者の佐藤俊さん(66)は「約50年、海の生き物を観察してきて初めて出会った。びっくりだ」と電撃に打たれたように衝撃的な邂逅(かいこう)を振り返った。
「ピカチュウ」に似た生き物が“ゲット”されたのは7月4日、新月の夜。漁港表層の生き物観察を趣味とする埼玉県で土産品会社を経営する佐藤さんが、本島北部の漁港の岸壁に数百匹が群れているのを発見した。
佐藤さんは「カニの幼生だと思いバケツに入れてみたが、泳ぎが違った。新種の生物か、宇宙の生き物を発見したかと思った」と興奮した表情で語った。
佐藤さんによると生き物の大きさは約5~8ミリ。半透明と赤みがかった2種類が海面付近を泳いでいた。容器ですくうと左右の手足らしき部位をパタパタさせ、愛らしい旗振りのような動きを見せたという。一部を持ち帰ったが、翌日には動かなくなっていた。
分類学専門で国立極地研究所日本学術振興会の自見直人特別研究員は“ピカチュウ”の正体を、釣り餌などで知られるゴカイの仲間の体の一部と判別した上で「卵や精子のカプセルが詰まった胴体部分だろう」と推察。体の一部を生殖活動の過程で切り離して繁殖するものがいるという。
自見研究員は「このような生殖個体を見るのは初めて。種によって生殖はさまざまで実態は分かっておらず、興味深い」と話した。
(高辻浩之)
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