席の間には飛まつ防止のシートが設置され、開業に向けて遊技台の消毒作業をするスタッフ=13日、那覇市天久のプレイランド名宝那覇店 画像を見る

 

沖縄県は14日から新型コロナウイルス拡大防止のために実施している「休業要請」を大幅に解除する。県内で感染者が確認されてから3カ月が経過したが、主力の観光業の回復は見通せていない。県民への外出自粛要請などによって個人消費も落ち込み、経済の停滞に拍車をかけた。県幹部は直近の3カ月で県内消費が1千億円以上落ち込んだとし「経済が崩壊すると社会が崩壊する」と危機感をあらわにする。休業要請の解除で個人消費喚起につなげたい考えだ。

 

営業再開には、県が示したガイドラインを参考に各施設で感染拡大防止策を徹底する必要がある。那覇市天久のパチンコ店「プレイランド名宝那覇店」では13日、準備を着々と進めた。密集を避けるため遊技台の電源を1台置きに落として客の間隔を広げ、ビニールカーテンを設置する。客には手袋を貸し出し、マスクの着用を求めるという。亀島仙雄主任は「客足は心配だが、やっと開業できるという気持ち。クラスターを発生させてはいけないので、換気も定期的に行う」と話した。

 

那覇市松山のあるスナックは客の人数制限、消毒や換気を徹底するなどの対策を取って14日から店を開く。県内で感染が広がった4月上旬から営業を自粛し、本来なら見込めた100万円以上の売り上げがなくなった。融資の申し込みや各種助成金、給付金などの申請をしたものの、まだ手元に現金は届いていない。店主の女性は自らの貯金を切り崩して家賃などの固定費を支払っているため、預金も底をつきそうな状態だ。女性は「感染症が怖いので店を閉めていたいが、従業員の生活もある。店を開けたところで客が来てくれるとは思えないが、開店して様子をみたい」と複雑な思いを吐露した。

 

再開に向けた動きが進む一方で、主要産業の観光関連産業には早期再開に慎重な意見も根強い。休業要請が解除されても、東京や大阪など都市圏で感染が収束していない現状ではすぐに観光客が戻ることは期待できず、第2波、第3波が発生して観光最盛期の夏場に影響を及ぼすことを懸念する。

 

13日午後、那覇市の国際通りの土産品店は、シャッターを閉じたまま閑散としていた。解除となっても来県自粛要請は続き、需要が見込めず営業再開に踏み切れない現状がある。ある土産品店の従業員は「再開までまだまだですね」とこぼし、店で眠る菓子など土産品の在庫整理をしていた。

 

経済団体の関係者は、今回の休業要請の解除に対して「時期尚早という感も否めない。解除されてもすぐには以前と同じように経済活動は戻らない」と指摘する。

 

ホテルなど宿泊施設や観光施設も休業を継続するところが多くあり、県経済が回復する見通しはいまだ立っていない。

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