埋め立てや護岸工事が進むキャンプ・シュワブ沿岸部。右側の大浦湾には軟弱地盤が広がる=12日午前、名護市辺野古(小型無人機で撮影) 画像を見る

 

米連邦議会下院軍事委員会の即応力小委員会(ジョン・ガラメンディ委員長)は現地時間の23日、2021年度国防権限法案を可決した。米軍普天間飛行場の代替施設として工事が進む名護市辺野古の新基地建設予定地の大浦湾で、地震の可能性や地盤の不安定性の懸念が高まっていると指摘。地盤の強さを示す「N値」の検証結果など海底の詳細な状況や、海洋ほ乳類・サンゴを含む環境全体への影響に関する追加の環境計画など5項目を含む報告書を、2020年12月1日までに提出するよう国防長官に指示する文言を盛り込んだ。

 

新基地建設予定地の活断層や軟弱地盤への懸念について米議会が国防権限法案で言及したのは初めてとみられる。県が発表した。

 

法案は「辺野古新基地建設の進行を懸念する」とし、2本の活断層が建設予定地近くにあることや、地質学者による調査の結果、建設計画の課題が特定されていると指摘。海底の地盤強化など懸念事項に対する改善策や、パブリックコメントの機会を含む環境計画、海底地震の危険性の評価などをまとめるよう指示している。

 

下院軍事委員会には即応力を含む六つの小委員会がある。各小委員会の案を今後、軍事委員会で協議していく。

 

玉城デニー知事は24日、「昨年10月の訪米で連邦議会議員らへ求めた内容を含んでおり、小委員会でこの条項が記載された法案が可決されたことは訪米活動の成果だと受け止めている」とのコメントを発表した。今後もワシントン駐在員を活用した情報発信と、県系米国民と連携した米国内での問題提起・行動に取り組むと強調した。

 

今年1月に近藤昭一衆院議員、石橋通宏参院議員と共に訪米し、米議会議員と意見交換した屋良朝博衆院議員(国民)は「指摘してきた内容が、今回の国防権限法案に盛り込まれた。これまで沖縄の基地問題を知らない人も多かった中で、米議会内でも疑問を持つ人が出てきた意義は大きい」と話した。

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