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酒税法の改正で、第三のビール(新ジャンル)の税金が10月1日から350ミリリットルあたり約10円上がる。「宅飲み」需要で酒類の販売が好調な量販店の店頭では、増税前にケース買いする「駆け込み需要」が見られる。一方、居酒屋などは増税で仕入れ値が高くなるものの「すぐに価格に反映させるのは難しい」と表情を曇らせる。新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける飲食店の経営に、酒税変更が追い打ちをかける形になりそうだ。

 

麦芽以外の原料を使うなどして低価格で販売されている第三のビールは売り上げが伸びている分野で、今年は新型コロナによる「宅飲み」でさらに需要が増えている。各ビールメーカーは6缶パックや24缶ケースにおつまみや油などの「おまけ」を付けてお得感を出しているほか、量販店も30日までポイントキャンペーンを実施するなど増税前の商戦が熱を帯びている。

 

イオン琉球は、旧盆明けから店内ポップで「まとめ買いがお得」とアピールしている。担当者は「第三のビールは8月も前年の2~3割伸びている。駆け込み需要のピークはこれからで、今月はさらに伸びる」と期待する。

 

フレッシュプラザユニオンは9月の4連休からケース買いする客が増えている。在庫を多めに確保し、駆け込み需要に対応する。今回の税制改正では第三のビールが値上がりする一方で、ビールの税金は下がる。ユニオンを運営する野嵩商会の担当者は「価格差はまだあるので、一気にビールに客が流れるとも考えにくい。ビール会社の戦略次第ではないか」と話す。

 

これに対し、飲み放題プランやサービスタイムの「100円ビール」などに第三のビールを取り扱っている居酒屋は、「増税になってもすぐに価格に反映できない」と頭を抱える。

 

県内の居酒屋チェーンは「経営を圧迫することは確実。ただでさえ客が少ないのに追い打ちをかける」と悲鳴を上げる。客が財布のひもを締めているのを感じているため、価格を変えるのは難しく、飲み放題プランの内容見直しを検討する。ビールは減税となるが、赤字経営が続く状態では値下げはできない。「8割の店は価格を変えられないと思う」と推測した。

 

飲み放題プランに第三のビールが入っている那覇市内の居酒屋は「大きいたるの方が得だが、客足がまだ戻っておらず、廃棄にすることもある。今年は野菜も高くてきつい」とこぼす。10月以降の客の動向を見ながら値段を検討する。
(玉城江梨子)

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