沖縄本島地方に強風注意報が出された「建国記念の日」に、米軍普天間飛行場から離陸するAH1Z攻撃ヘリコプター=11日午後2時12分、宜野湾市内 画像を見る

在沖米海兵隊は日本時間の5日午後6時から9日午前までの間、米プロフットボールNFL王者を決める行事「スーパーボウル」に合わせて米軍普天間飛行場の滑走路の運用を止めていたことが分かった。県立高校や県内大学の入試や卒業式などで飛行しないよう求める地元の求めは聞き入れない一方で、自国のイベントには運用を控えるという対応の違いが際立つ。

 

米連邦航空局が発行する短期的な航空情報「ノータム」の履歴を見ると、スーパーボウルを理由に普天間飛行場の滑走路を5日午後6時から9日午前7時まで閉鎖する旨が記されている。実際、県などが実施する普天間飛行場周辺の騒音測定調査の速報値を見ると、終日運用を停止した6~8日、ほとんど騒音を拾っていない。

 

滑走路の使用が再開した9日朝からは再び通常の運用に戻った。休止中の1基を除く宜野湾市内の測定局全7地点で、パチンコ店内や間近で聞く救急車のサイレンに相当するとされる80デシベルを超える騒音が測定されている。上大謝名公民館では10日だけで89回の騒音を記録した。宜野湾市が受け付ける「基地被害110番」に電話した市民は「音がうるさすぎて、ひどい」「子どもが眠れない」などと訴えた。

 

日米が結んだ騒音規制措置(通称・騒音防止協定)は「慰霊の日のような周辺地域社会にとって特別に意義のある日については、訓練飛行を最小限にするよう配慮する」と定めている。だが過去には6月23日の「慰霊の日」にも米軍機の飛行が確認された。「最小限」の定義は不明瞭で、米軍の行動を縛ることができず実効性に欠ける。

 

日本の「建国記念の日」に当たる今月11日も通常通り訓練を実施していた。この日、普天間飛行場では朝からヘリコプターや輸送機MV22オスプレイが離着陸を繰り返し、最大94・4デシベルの騒音が発生。嘉手納基地でも米軍機が離着陸を繰り返し、嘉手納町嘉手納で最大89・7デシベルが記録されている。90デシベルはカラオケ店内中央や直近でほえる犬の声に近いといわれる。

 

旧正月の12日にも、騒音規制措置で制限される午後10時を超えて米軍機が飛行していた。

 

普天間飛行場や嘉手納基地周辺に暮らす住民たちは爆音訴訟を起こして飛行差し止めを求めてきたが、一日も認められたことはない。裁判所は米軍機の飛行に日本の支配が及ばないとして、原告の訴えを退けてきた。 (明真南斗)

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