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フィギュアスケートのグランプリファイナルで世界歴代最高点を更新し、史上初の3連覇を達成した羽生結弦(21)。エキシビションで演じた『天と地のレクイエム』が、「秀逸で涙が出た」と、いま大きな感動を呼んでいる。

 

美しい旋律の作曲者はピアノ・シンセサイザーアーティストの松尾秦伸さん(57)。彼は多くの寺社仏閣で奉納演奏を行い、“癒しの音楽家”と呼ばれている。今回、エキシビション誕生秘話を本誌だけに語ってくれた。

 

「これは東日本大震災の津波の映像を見て誕生した『3・11』という鎮魂曲です。今年の5月、羽生選手の所属するANAから“うちの羽生が『3・11』で滑りたいのですが、CDはどこで買えますか?”と電話がありました。突然のことで信じられませんでした(笑)」

 

翌月に羽生サイドから、曲の使用願の連絡が入る。

 

「すでに羽生選手は練習を始めたとのことでした。9分の曲を3分に短くさせてくださいとも。曲名も副題があるとうれしいと要望があり、考えることにしました。選ばれたといっても、僕はフィギュアのことはまったく知らず、わけがわかりませんでしたね」

 

松尾さんがこの『3・11』を初めて弾いたのは’11年9月の熊野。紀州豪雨災害のチャリティコンサートだった。

 

「演奏中に中盤のパートが降りてきて9分という長さになりました。そのとき僕は背負いきれないようなエネルギーを感じ倒れそうになって。演奏後、この曲は自分の心にだけ収めて“封印”しようと思っていましたが、家内から『なぜ演奏しないの?CDにしたら』と背中を押され、やっと録音したんです」

 

ネットのYouTubeにアップされた熊野での演奏を、羽生の振付師・宮本賢二氏が見つけた。彼も阪神・淡路大震災の被災者だった。

 

「僕のサイトを見る人はそれほど多いわけではありません。もし宮本さんがそれを見つけてくれなければ……そして僕が封印したままCDにしなければ、この曲で羽生選手が滑ることはなかったんです」

 

“奇縁”を感じながら、松尾さんは副題を考えた。

 

「すべての肉体を持つ人、肉体を持たない魂、万物の生きとしいけるもの、『天地人』すべてに鎮魂を捧げるという意味で『生命 天と地のレクイエム』と提案したんです」

 

そのとき、羽生が『SEIMEI』をフリーで演じることを、松尾さんはまったく知らなかったという。

 

「安倍晴明と生命、そしてテーマの『天地人』が偶然リンクしていたんです。羽生選手を柱にして、何か大きな力に引き寄せられた気がします」

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