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「五郎丸とは、ヤマハと日本代表で’08年からの2年間一緒に過ごしました。寮でもサーフィンでも、いつも一緒。アイツ、寡黙で無愛想なイメージがあるでしょ。実際はおっちょこちょいで、カッコつけてもキメきれない奴なんです。そこがかわいくて僕はイジる。『ホンマにお前は“あと一歩の男”やなあ』『そうなんすよね』って。たぶん、そういう接し方をしてくれる相手が少なかったと思うんですよね」

 

ラグビー元日本代表選手の冨岡耕児さん(35)が、6歳下の五郎丸歩選手(29)との日々を懐かしそうに振り返る。冨岡さんは現在、立命館大学とヤマハ発動機ジュビロで同僚だった守屋篤さん(34)と’14年に設立した一般社団法人「PRAS+」の活動の一環として、関西を拠点に「危険なタックルやスクラムがない」タグラグビーを少年少女たちに教えて回っている。

 

「小・中学校のほか、児童養護施設、児童自立支援施設なども訪問します。なかには親の愛に恵まれなかったり、非行に走った子もいる。そんな“大人不信”な子どもが、僕らとパスを回したりしているうちに、みるみる笑顔になって心を開いていく。ラグビーにはそんな力があるんです」

 

いいパスをした子には、「できるやん!ラグビーやってたな!? センスあるよ」と、冨岡さんは大きな声でほめる。

 

「親の愛に恵まれなかったり、非行に走った子たちは、『誰にも認められていない』というコンプレックスがあり『誰かに認めてほしい』という願望が強い。だから、小さなことでもええから、なにかができたときに、僕は思いっきりほめてあげるようにしているんです」

 

冨岡さんが、子どもたちに伝いたいのは「ラガーマンの精神」だ。

 

「ラグビーでは大切なことを学びました。五郎丸と僕らって、《一人はみんなのために、みんなは一人のために》っていうラグビー精神で繋がっているから、とても絆が強いんです。“大人不信”の子らにも、信頼できる人ときっと出会えるんだよって伝えたい」

 

それは、いまは活動の場が異なる五郎丸が期待していることでもあるという。

 

「五郎丸は僕の活動に賛同してくれています。『冨さん、自分に協力できることがあったら、なんでも言ってくださいよ』って、アイツがフィールドで活躍するのと同じくらい、僕は学校や施設のグラウンドを、子どもたちといっしょに駆け回っていきたいんです」