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(写真・AFLO)

「お母さんは地元のゴルフ場で予約の事務をしています。奈紗さんが小学生に上がった頃からよく連れてきていました。放課後、学童保育に行かずに自転車に乗って、そのまま母親の職場に遊びに来ていたんです。最初はパターで遊んでいるだけでしたが、自由に遊んでいるうちにゴルフが好きになっていったんでしょう」(ゴルフ場支配人)

 

10月2日に最終日を迎えた日本女子オープン。女子高生の畑岡奈紗(17)が、史上初のアマチュア選手による国内女子ツアー公式戦制覇を達成した。キャディーとして娘と一緒に回ったのは、母親の博美さん(46)。娘を歴代最年少優勝に導いたのは茨城県笠間市内のゴルフ場に勤務する博美さんだったと、彼女が勤務する地元ゴルフ場の支配人は話す。

 

「打ちっぱなしやパットも気の済むまでやらせていたようです。お母さんは仕事をしながら、ニコニコ見守っていました」

 

娘の名を「前人未到のことを達成するように」とNASAにあやかってつけたと語るのは、父親の仁一さん(51)。仕事帰りに取材に応じてくれた。

 

「ヨチヨチ歩きのころは、道で転んだときには『自分で起き上がりなさい』と、親が抱き上げることはしませんでした。ゴルフを始めてか、娘のライバル選手を見れば、親がものすごく子供に手をかけていましたね。私は門外漢で『お父さんお腹すいたから練習やめて食事に行こうよ』とか『先に帰ってるから』とそればかり。一度『もっと本気で娘さんを応援しなさい』とほかの親に怒られました」

 

両親とも最小限にしかかまわなかったから、気がつくと娘は自分のことは自分でするようになっていたと話す。通信制の高校に進学すると、より彼女らしさを発揮するようになる。

 

「高校生になると練習のスケジュールは本人が決めて、いつもひとりで黙々と打っていますね。通信制ですから誰も監視していませんし、勉強もサボれるのに自己管理がしっかりしています。同年代の子はみんなスマホをいじっていますが、奈紗さんの場合、そんなこともなくゴルフに集中していました」(前出・ゴルフ場支配人)

 

試合での物怖じしない性格やゴルフに対する向上心は、母の「放任子育て」の結果、彼女自身が自分で作り上げてきたのだ。今回優勝したことで、今後1年間は予選なしで公式試合に出られる資格も得た。8月には来季の米女子ツアーの出場権獲得のための一時予選会も通過している。

 

「今後の目標は米ツアー出場権を獲得し、全米女子オープンに優勝すること。東京五輪で金メダルを獲りたい」

 

自己管理のできる17歳は、しっかりと将来を見据えていた――。

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