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「近畿選手権は主人とテレビで見ていましたが、転倒する度に体力不足と感じました。年齢も年齢ですからね。引退した体を現役時代のレベルまでに戻すのは、まわりの想像以上に難しいことなのでしょう。親としては正直、『そんなに苦労せんでもいいのに』と思ってしまいます。でも本人がやりたいと言って始めたこと。私はただ、見守るしかないです」

 

西日本選手権の直前、高橋大輔(32)の母・清登さん(68)はそう語った。

 

今年7月、引退から約4年ぶりに現役復帰を発表した高橋。「全日本選手権の最終グループに残ること」を目標に掲げていたが、8月中旬に左足の肉離れを起こしてしまう。満足に練習できない時期が続くなかでむかえた10月の近畿選手権で、高橋は惨敗を喫す。フリープログラムでは2度も転倒し、「最低ですね。練習でもここまでボロボロになったことはないです」と漏らしていた。

 

32歳での現役復帰は、想像以上に過酷だった。そんななか、高橋は年末に行われる全日本選手権への出場が掛かった“大一番”となる西日本選手権に出場。そこで244.67点を叩き出し、復帰後初となる優勝を飾ったのだ。

 

高橋が目標としているのは、全日本選手権の出場。その先に見据える最終滑走は、絶対王者・羽生結弦(23)との再戦を意味している。フィギュア界を牽引してきたスター同士。10月には一部女性週刊誌が「羽生結弦VS高橋大輔 笑えない無言の『場外乱闘』」と題し、2人の“対立”を報じていた。だが清登さんは、こう語る。

 

「とんでもない。羽生選手は大輔と比べたらもう、次元が違います。雲の上の存在ですよ。それは、あの子も分かっているはずです。ただ近くの目標より、少し上の目標を持つほうが頑張れるもの。だから、現役復帰するときにあえて『羽生選手らと同じ全日本の最終グループに残りたい』と口にしたのだと思います。そうすることで、自分自身を奮い立たせているんです」

 

それほど大きな目標を掲げてきた息子に、母は最後にこんなエールを送る。

 

「復帰後の大輔には、若いはつらつとした動きがないかもしれません。でも技術とかではなく、必死に頑張って滑っている様子が伝わってきます。これからも、見に来てくれたお客さんが『よかったね』と思ってくれるような演技をしてほしい。そして何より、あの子には楽しんで滑ってほしい。勝手かもしれませんが、それが親としての願いです――」

 

会場から聞こえた母の声援。その声は、さらに高橋を力強く躍進させることだろう。

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