(写真:アフロ) 画像を見る

「実は、昨年末からサーシャコーチとの契約更新についての話し合いが持たれていたそうです。関係者の間では、今シーズンが始まった時点で『今季いっぱい持つかどうか……』と噂されていました」(スポーツ紙記者)

 

1月の全豪オープンテニスで優勝を果たし、名実ともに世界の頂点に立った大坂なおみ(21)。その立役者と言われているのが、コーチのサーシャ・バイン(34)だ。だが2月12日、大坂は自身のSNSで「皆さん、この先、サーシャとは一緒に仕事をしません。感謝とともに、彼の将来がベストであることを祈っています」との契約解除を発表。突然の離別は世界中を驚かせたが、実は冒頭のように水面下で亀裂が生じていたというのだ。いったい何があったのか。そこには二人三脚で歩んできた2人に生じた“決定的なズレ”があった――。

 

サーシャが大坂のコーチに就任したのは17年11月。そこからわずか1年ほどで世界ランキング70位前後から1位に押し上げた。その功績から昨年末には、WTA初代最優秀コーチ賞の栄誉にも輝いている。大坂もその手腕を「彼のいいところは人柄です。私はなかなか自分を出せないのに、彼に対しては自分を出せます」と絶賛していた。

 

「サーシャコーチは、大坂選手のメンタル面を強化しました。もともと彼女の実力と才能は世界トップクラス。しかし“完璧主義者”の彼女には、ミスをするとすぐ心が折れる癖がありました。そこで彼は就任直後から意識改革を行い、“動じない心”を彼女に身につけさせた。そして安定感を手にしたことで、彼女は全米と全豪を制するまでに成長したのです」(前出・スポーツ紙記者)

 

快挙を達成したことで、大坂には次なる目標が生まれた。それはすべての4大大会で優勝する“年間グランドスラム制覇”。そのためには技術面の強化が急務だが、そこで問題となるのが“サーシャのコーチ力”だった。

 

「もともとサーシャはコーチではなく、セリーナ・ウィリアムズ選手(37)などの練習相手を務めていました。そのためメンタルケアの分野では超一流ですが、コーチ経験は浅い。技術面での指導はまだ十分とは言えませんでした。そんな彼の“限界”を、大坂選手も感じていたのでしょう。彼女は今回の全豪中、彼との練習を10分で切り上げていました。さらに彼女はクリス・エバート(64)という往年の名選手が経営するアカデミーで練習しているのですが、『サーシャのことを悪く言うわけではないけれど、クリスが成し遂げてきたことを知っているだけに同じことを言われても彼女の助言は信じやすい』と全豪期間中に答えて記者たちを驚かせたのです」(前出・スポーツ紙記者)

 

恩人との決別を選んだ大坂。2月14日には自身のSNSで、日本女子テニス協会の吉川真司氏(41)が代理コーチを務めることを発表した。しかし一部からは「これまで以上に活躍することができるのか?」という声も聞こえているという。だが長年大坂を取材し続けてきたあるテニスライターは、こう太鼓判を押す。

 

「サーシャが与えてくれた“ポジティブな姿勢”“安定したプレー”によって、大坂選手は1つの頂点に達したと思います。またフィジカル面の向上に大きく貢献したコーチ陣は残留しているので、一貫した強化は継続していけると思います。実は新たなコーチの吉川さんも日本のナショナルチームのコーチとして、これまでも彼女のサポートにあたっていました。さらにクリス・エバートの助言は信じやすいと言っていたことからも、今後は往年の名選手をスーパーバイザー的につけるという可能性もあるでしょう。2つのグランドスラム優勝と世界1位を達成した今、彼女は世界中の選手の標的にもなります。今後は、新たな目標とモチベーションを見つける必要があると思います。今回のコーチ変更も、そのためのステップと捕らえていることでしょう」

 

新チームでの活動をスタートさせた大坂。さらなる栄光を目指し、羽ばたいていくことだろう――。

【関連画像】

関連カテゴリー: