野球評論家・張本勲氏(79)が高校野球について「けがを怖がったんじゃ、スポーツやめたほうがいいよ」と意見したことについてメジャーリーグ、シカゴ・カブスのダルビッシュ有投手(32)がTwitterで苦言を呈した。
1915年に始まり、今年で101回目の開催となる夏の高校野球。25日に開かれた第101回全国高校野球選手権大会への出場を懸けた岩手大会決勝で、大船渡高校・国保陽平監督(32)はエース・佐々木朗希投手(17)を起用しなかった。
チームは敗退したが、国保監督は佐々木投手について「3年間で一番壊れる可能性があると思った。故障を防ぐために私が判断した」と決断の理由を説明した。
この件について張本氏は7月28日、「サンデーモーニング」(TBS系)内コーナー「週刊・御意見番」で「最近のスポーツ界で私はこれが一番残念だと思いましたよ」「絶対に投げさせるべきなんですよ」と発言した。
さらに「昨年ね、吉田輝星(北海道日本ハムファイターズ投手・18)が800球くらい投げてるんですよ。予選からずっと一人で」と述べ、こう語った。
「けがを怖がったんじゃ、スポーツやめたほうがいいよ。みんな宿命なんだから、スポーツ選手は」
また「将来を考えたら投げさせたほうがいいに決まってるじゃない」「苦しいときの投球を体で覚えて、それから大成したピッチャーはいくらでもいるんだから」と話し、「ラクさせちゃダメですよ。スポーツ選手は」と持論を展開した。
するとダルビッシュは28日、張本氏の発言を報じるニュースを引用リツイートし《シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う》とツイートした。
27日、高校野球について《炎天下の元で生死をかけてやる姿が感動を呼ぶのであって、クーラーの効いたドームでやると感動しないのではないかと》というTwitterでの投げかけに《主役は球児。誰も感動したい人たちのために甲子園目指してないですからね》と返答。高校野球での熱中症や故障のリスクに疑問を感じているようだ。
このダルビッシュの「シェンロン」ツイートは5.6万件のリツイートと15万回の“いいね”を記録。さらにサッカーの長友佑都選手(32)も《同意》と返信するなど反響を呼んでいる。またTwitterでは賛同する声が上がっている。
《私も学生時代野球をやっていたが「疲労」は良いんだ、休めば回復し元に戻るから。ケガはダメだ。元に戻る場合だけではないから。スポーツを継続する際の「致命傷」になり得る》
《ダルビッシュ選手を100%支持。「けがを怖がったんじゃ、スポーツやめたほうがいい」なんてパワハラ暴言、許されてはいけませんね。放送倫理基準にも抵触するはず》
《高校野球は学生野球であり、放課後のクラブ活動としての文科省が認める体育。放課後教育に教師に依る、子供の体を壊す権限を文科省は与えていない。問題は高野連にあると認識するべきだ》
高校野球のあり方については今年1月に横浜DeNAベイスターズの筒香嘉智選手(27)も記者会見を開き、警鐘を鳴らしていた。筒香は「負けたら終わりのトーナメントではメンバーも固まり、連投や肘、肩の故障も増える。ルールで球数制限や練習時間を決めるべきだと思う」と提言。
高校野球をあくまで「高校の部活」とし、「大きなお金が動いたり、教育の場と言いながらドラマのようなことを作ったりすることもある」と発言。「高校野球が悪というか、全てを否定しているわけではない」と前置きしながらも「子供たちのためになっていないという思いをなかなか伝えきれていないのが現状だと思います」と話していた。