■「これは正しい技術ではなく、稚拙なジャンプ」
「論文でモーションキャプチャの精度を検証するため、羽生さんは自らを実験台に、アイスリンクで1回転ループや3回転半など6種類のジャンプを跳び、そのデータを測定。検証は見事成功し、論文でも『これは極めて優良なデータになったのではないかと感じる』と結果に自信をかせていたそうです」(大学関係者)
しかし、ループジャンプの検証ではこう綴っている。
《ループジャンプは右足で遠心力を利用しながらジャンプするが、飛び上がるまでに遅い、つまり、離氷せずに回転数を稼いでから離氷するようなジャンプを行うスケーターらがいる。これは正しい技術ではなく、稚拙なジャンプであるが、これを現ジャッジングシステムでは減点対象であると明記してあるのにもかかわらず、離氷を判定する基準がないため、これの適用がうまくできずにいた》
また、こうも綴っている。
《現審判員は1方向からしか見ることができないという物理的な制限があり、プログラムの振付師やスケーターのコーチによっては審判員の死角になるようにフリップジャンプ、ルッツジャンプを配置している》
採点制度の穴を利用した選手やコーチを「稚拙」と一刀両断した羽生。この言葉は論文中、7回も繰り返されていることからも、羽生の怒りの強さがうかがい知れる。
フィギュアスケート評論家の佐野稔さんは羽生が指摘する“稚拙なジャンプ”をこう解説する。
「いちばんわかりやすいのがアクセル。氷上で前向きにある程度回転してから跳ぶのですが、羽生選手は16分の1ほど。しかし、ひどい人は氷上で4分の1回転してから跳んでいます。跳ぶ前の回転においては明確な減点のルールがないのです」
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