■「地元の人も誇らしい一方で、ちょっと遠い存在になってしまったという寂しさも」
「最近は、大谷選手のあまりの活躍ぶりに、地元の人も誇らしい気持ちになる一方で、『本当に奥州市の人?』という声も。正直、ちょっと遠い存在になってしまったという寂しさもありますね」
前出の大越さんは言う。
「私自身、市役所勤務23年ですが、まさか一生の間に、MLBの取材を受けるとは思いもしませんでした。ただ、大谷選手の活躍を通じて、奥州市が知られることは、本当にうれしいし、改めて大谷選手には感謝しています」
そんな話をしているところへ、足早にやってきたのが小沢市長。会議室へ入る直前に、こちらに向かい、やや興奮気味に言った。
「今日、出たな、42号!」
8月31日火曜日、午後3時前の奥州市役所。それを聞いた大越さんは、またまたあわてた様子で4階から階段を一気に駆け下りる。向かったのは、1階ロビーに設置された元祖・大谷メーター。
「予算がないので電光掲示板とはいかず、アナログチックですが」
苦笑しながら、マグネット式の数字カードを「41」から「42」にチェンジする。
「ちょっと安心だね」
「でも、ゲレーロ選手、ペレス選手が追い上げてきてるから」
「いや、やってくれるでしょ、おらほの大谷選手なら!」
職員たちも居合わせた市民たちも、また笑顔に。
世界一のふるさと応援団の、東北人らしく穏やかに燃え盛る“大谷熱”は、これからいよいよクライマックスを迎える。(本文中の大谷選手の記録は、8月31日時点のものです)
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