羽生結弦 国威発揚の思惑も?中国が北京五輪の現地応援を買って出た理由
画像を見る 中国選手の裏返った旗を直す羽生(写真:アフロ)

 

■“プーさんシャワー”も中国ファン由来

 

ある日本の羽生ファンも、中国人のファンたちの熱狂ぶりを目の当たりにしたことがあるという。

 

「数年前、日本で開かれた羽生選手出演のアイスショーで、隣に座った中国のファンに日本語で声を掛けられたことがあります。友達5人で中国から羽生選手を見に来たという女子大生で『羽生選手が出るショーをたくさん見られるから、日本の人はうらやましい』なんて話していましたよ。

 

もっと羽生選手のことが知りたくて日本語を勉強したそうで、羽生グッズはどんなものが売っているのかなどいろいろ聞かれました。コロナ前は試合やショーの会場のあちこちで中国語が飛び交っているのを聞きましたね」

 

中国人にとって、“羽生ラブ♪”のポイントとは? 安田さんによれば、中国のSNSでは「リンクにキスする動作が好き」「スター性があってカッコいい」といった、羽生を好きな理由が挙げられているという。

 

「王子様のような外見やアスリートとしての素晴らしさ、さらに人間性にも引かれているようです。’17年の世界選手権で、羽生選手と表彰式で並んだ中国人選手が中国国旗を表裏反対に持っていたことがあったんですが、そのとき羽生選手が気づいて直すのを手伝ってあげていたんです。そうした優しい気遣いでも中国人ファンの心をつかんでいるようですよ」(フィギュア関係者)

 

また、羽生の演技後、客席からぬいぐるみのプーさんがリンクに投げ込まれる“プーさんシャワー”は有名だが、大量に投下されるようになったのは中国から始まったといわれている。

 

「それまでは数えられるほどだったのが、’14年の中国杯で大量のプーさんが投げ込まれたんです。中国のファンは熱狂的ですからね」

 

ただ、北京五輪ではその様子は見ることができなさそうだ。

 

「中国では“プーさん”という言葉は、その姿が似ていると、習近平国家主席を表す隠語として使われていてSNS上などで検閲の対象になっているのです。だから、北京五輪では、羽生選手へのプーさんの投げ込みができないのではと冗談交じりにささやかれていますよ。いずれにせよ北京五輪では、コロナ感染予防対策で、リンクへの投げ込みはぬいぐるみに限らず禁止になるのではないかとは思いますが」(前出・フィギュア関係者)

 

ちなみに、羽生の最大のライバルであるアメリカ人選手、ネイサン・チェン(22)も中国で人気が高いと、安田さんは言う。

 

「両親が’80年代にアメリカに移民して成功していることから、中国ではネイサン選手を“典型的な海外中国人エリート家庭の子”と呼ぶ声もあります。中国では華人をひいきする傾向もあるためネイサン選手も応援されるでしょうが、北京五輪では羽生選手を応援する中国人のほうが多いのではないかと思います」

 

羽生は「応援が力になる」と、ファンが背中を押してくれる心強さを事あるごとに口にしてきた。気の早い話ではあるが、日本からパワーを託された中国ファンの熱い応援を受けて、北京の地に立つ羽生の姿を楽しみにしたい。

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