■「1年間、休養しては」という提案に羽生はーー
その後、羽生は’14年のソチ五輪で金メダルをとることになるのだが、その直前の’13年のグランプリシリーズの一戦で、パトリック・チャンに敗れて2位となった羽生を城田さんが「もっとできたはず」と叱責したときのことが、著書にはつづられている。
このとき18歳だった羽生は次のように反論したという。
〈そんなに叱らないでください。ぼくは、褒められて伸びるタイプなんですから〉
「図太いですよね(笑)。自分を叱っている人間に真っ向から言い返せるなんて、相当にタフなメンタリティの持ち主だと思います。かえって頼もしく感じたほどです」
ソチ五輪の後、城田さんは羽生に「1年間、休養してはどうか」と提案したことがある。
「もうこちらも疲れてしまって(笑)。でも『五輪連覇を目指すには休んではダメなんです。休んだら僕は動かなくなる』と言われて。そう言われると『わかった』というしかないですよね」
’18年の平昌五輪後には「よく頑張ったね。お疲れさま」と伝えた。羽生が引退するのではないかと思っていたがゆえの言葉だった。
「区切りとしてはちょうどいいんじゃないかと思っていたんです。2連覇なんてなかなかできることではありません。でも彼はクワッド・アクセル(4回転半ジャンプ)を目標にかかげて、その後も現役を続けています。27歳はフィギュアの世界では、ピークを過ぎているともいえますが、それでも頑張っている姿はほんとうに偉いと思います」
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