■来季“現役続行”なら周囲は後輩ばかりに
ただその一方で、4月21日には、羽生の進退にやきもきするファンの不安を和らげるニュースも飛び込んできた。日本スケート連盟が今年度の特別強化選手を発表したのだが、そのリストの中に《羽生結弦》の名前があったのだ。
「特別強化選手に指定された選手には強化費が充てられます。羽生選手は15歳から毎年、特別強化選手に名を連ねており、今回で13回目です」(前出・スポーツ紙記者)
今年度も……ということは、やはり現役続行? ただ連盟からは羽生について“注釈”があった。
「連盟によれば今回、羽生選手を選んだのは、あくまで選出基準に則ったもので、本人から現役続行の意思が届いているわけではない、というのです。一方で、引退の決断も聞いていないといいます。連盟も現時点では、羽生選手の意思を把握できていないということです」(前出・スポーツ紙記者)
とはいえ、「とりあえず、まだ引退を決めたわけではないということだから、希望が持てる!」と喜ぶファンの声も。
フィギュアスケート評論家の佐野稔さんも、羽生の現役続行に期待を寄せる一人。
「やはり“4回転アクセルの完成”は、まだ大きな目標としてあるのではないでしょうか。完成までは本当にあと少しだと思いますし、ISU(国際スケート連盟)の試合で跳ばないと認定されませんから現役でいないといけません。そもそも命懸けのジャンプですから、試合のギリギリの緊張感があってこそ初めて完成するものだとも思います」
北京五輪では転倒し、回転不足だった4回転アクセル。今度こそパーフェクトに跳ぶという悲願達成のために、羽生が現役を続ける可能性は十分にある――。
現役続行の期待が高まるなか、5月から6月にかけて、羽生は恒例のアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」に出演する予定だ。
「見どころは国内外から招かれる豪華な顔ぶれ。羽生選手は、このショーでトップスケーターと交流できることをいつも楽しみにしているんです。今回は、羽生選手憧れのジョニー・ウィアや、カナダでともに練習した盟友ハビエル・フェルナンデスも参加します。また、田中刑事さんや宮原知子さんも出演します。新たなスタートを切る同世代との交流は、羽生選手が改めて“自分の道を行く”ための発奮材料になるかもしれませんね」(アイスリンク関係者)
仲間たちとのショーを終えたら、新シーズンへの準備が始まる。田中刑事の引退により、日本フィギュア界の男子シングル選手は、羽生にとって年下ばかりになる。
「北京五輪でメダルを取った宇野昌磨(24)や鍵山優真(18)だけでなく、四大陸選手権で2位になった友野一希(23)や同じく3位になった三浦佳生(16)など、日本男子の層はいまとても厚いのです。これまでと同じように羽生選手が壁となって立ちはだかり、後進に背中を見せることは日本のフィギュア界全体をさらに強くすることにもなるでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
ちなみに、前出のフィギュア関係者いわく「羽生選手は末っ子なためか、年上や同世代には人懐っこい弟キャラ」とのことだが、来季は日本フィギュア界の“兄貴”として、その活躍に期待!