■羽生も世界から注目を浴びたのは17歳
そんなマリニンが尊敬している選手として挙げているのが、同門のネイサン・チェン。そして、もう一人がやはり、羽生結弦だ。
数年前の大会に羽生の平昌五輪フリー『SEIMEI』とそっくりの衣装で出場する幼いマリニンの姿も、ネット上の動画で確認できた。
「4Aは“羽生選手やほかの選手が跳んでいるのを研究している”と本人がインタビューで話しています」(前出・スポーツライター)
こうした新星の出現に、いま羽生は何を思うのか――。
五輪直後の羽生は、「僕なりの4回転半はできていた」と語る一方で、「4回転半を(完璧に)降りたいなという気持ちはある」と、今後も4Aへの挑戦を続けるのかどうか、決めかねている様子だった。
佐野さんは、こう推測する。
「羽生選手も、当然、マリニン選手の4Aの動画を見ていると思いますね。ただ、今後どうするつもりなのかが不明ですから、動画を見て焦るのかどうかもわからないのが正直なところです」
一方で佐野さんはこうも話す。
「ただ一つ言えるのは、これまで最先端にいたのは羽生結弦です。彼が切り開いてきた道に続く一人が、マリニンでしょう。
昔の羽生選手がそうしてきたように、先駆者がつくった偉大な功績は、いずれ誰かが乗り越えないといけない。先輩を超えていくのは、スポーツマンの使命なんです」
振り返れば、羽生が世界で頭角を現し始めたのも、ちょうどいまのマリニンと同じ17歳のころ。
「17歳で世界選手権に初出場した羽生選手は、フリーで転んだもののそこから立て直し、日本男子最年少メダリスト(3位)になったのです。開催地の地名から“ニースの伝説”と語り継がれています」(前出・フィギュア関係者)
同じく17歳で世界に大きなインパクトを与えつつある新星に羽生は道を譲るのか、それとも――。佐野さんは期待を込めて言う。
「これからのフィギュアスケート界に面白い風が吹くのは間違いなさそうですね」