■頭をよぎる選択肢 羽生の問いへの答えは
長年熱心に羽生を追い続けているファンにも話を聞いてみると、
「羽生くんがプロスケーターについてなにか質問するようなインタビューや対談は、私は見た記憶がないです。珍しいと思います」
という。これについて「羽生選手の“心の揺れ”が感じられる質問ではないでしょうか」と前出のスポーツライターも分析する。
「ハビエルは平昌五輪で銅メダルに輝いた翌’19年、競技生活から引退し、プロスケーターに転向しています。プロとして経験を積んできた彼に、競技選手時代との違いをぜひ聞きたかったのでしょう。羽生選手の頭の中にも、遠くない未来の“引退”“プロスケーター”の選択肢がよぎっていて、悩んでいるからこそ出てきた質問といえるのではないでしょうか」
仲間であると同時にライバルとして、ソチ五輪、平昌五輪で激戦を繰り広げてきた2人。さらに振り返れば、羽生にとって3歳年上のハビエルは“一歩前を行く”存在でもあった。
そもそも、羽生が’12年に仙台からカナダに拠点を移したのは、ハビエルと一緒に練習できることが大きかったようだ。
「’11年のグランプリファイナルで2種類の4回転ジャンプを決めたハビエルを目の当たりにした羽生選手は、『彼のジャンプの秘訣を知りたい!』と、同じ拠点に移る決断をしたといいます。練習仲間になってからは、ハビエルのフォームを間近で見て研究したそうです」(前出・スポーツライター)
そしていまは“プロ”の先輩。ハビエルの意見を参考にしながら、羽生は自分の今後について思いを巡らせているのでは――。
この7月からフィギュアの新シーズンが始まる。6月末には6カ国で開催でされるグランプリシリーズのアサイン(選手の割り当て)が発表される予定だという。
「もちろん、羽生選手がグランプリシリーズに出場せず、12月の全日本選手権から参戦するという可能性もあります。ケガをした昨年も、公式戦は全日本が初戦になりましたから。それでも優勝して一発で北京五輪の切符を手にした羽生選手なので、新シーズンもどんなスケジュールを組むのか大注目です」(前出・フィギュア関係者)
今後の動向から目が離せない羽生だが、そんな彼から“競技とプロとの違い”を聞かれたハビエルがどう答えているかというと……。
「ハビエルは、『競技をやめると決めた瞬間から、新しい人生が始まった』と話しています。なにもかも違うと感じているようです。羽生選手も彼の経験談に思うところがあるのではないでしょうか」(前出・スポーツライター)
盟友からリアルな実感を聞いた羽生は、果たしてどんな決断をするのだろうか。