■「金メダルを私にかけてくれました」
羽生を支えてきた指導者たちにも聞いてみた。羽生が4歳から小2まで指導していた山田真実コーチは「とにかく自分の世界観に入り込む少年でした」と振り返る。
「もちろん、まだ競技会に出場すれば普通に勝てます。でもモチベーションを保つことは容易ではありません。十分に競技生活を続けてきたので、新たなステージに向かう決断をしてよかった。今度、結弦の主催するアイスショーがあれば、チケットを買ってこっそり見に行きます。これからの彼をすごく楽しみにしています!」
羽生を小2から高1まで指導していたコーチ・都築章一郎さん(84)がいちばん印象的だったのは、羽生が初めて金メダルを取ったソチ五輪のとき。
「祝賀会に呼ばれましてね。そのときにメダルを見せてもらって、『このメダルは先生が取りたかったんだよ』ということを言ったら、羽生から『それはよかった。こんなものでよかったの?』なんて言われましてね。そして、金メダルを私にかけてくれました」
当時の羽生は、すでに金メダルだけでは満足していなかったのだろう。会見でも「現状に満足したことは基本的にない。とにかく、うまくなりたいなと思っていた」と話していたようにーー。
8歳のころから専属トレーナーを務め、2度の金メダル獲得を支えた菊地晃さん(66)は「結弦は人生の宝物」だと断言する。
「だから、本当にお疲れさまという気持ちですね。そしてたくさんの夢をありがとうございました。結弦に経験させてもらったすべてのことは、私の人生のなかでいちばん大切なところにしまわせてもらいます」
出典元:
関連カテゴリー: