■母校が語った真相「実際には活動停止です」
一体、どのようなことがあったのだろうか? 本誌が山梨学院高等学校に取材を申し込むと、教頭が当時のサッカー部監督に確認の上、詳細を語ってくれた(以下、カッコ内は教頭)。
まず、後輩にあたるサッカー部の部員たちは、「みんな口を揃えて『すごい先輩だ』と感激しています」とW杯での活躍を絶賛。いっぽう、生徒たちもネット上で前田の過去が噂されていることは把握しているという。だが教頭は、「それでもトータルで見て『前田選手は凄い』といった反応を示しています」と話した。
そう前置きした上で、“からかい除籍”についてこう明かしてくれた。
「ネットの記事では『除籍』と表現をしているようですが、実際には活動停止です。部としては『3年間で育てたい』という前向きな気持ちで、そのような処分を下しました」
肝心な“からかい”の内容については、「入学してすぐに、5人くらいのグループで仲間の部員に一発芸をさせるといったことをしたんです。でも、悪意があってやったことではありませんでした」と説明。さらに、処分を受けたのは前田1人だけではなく、からかった部員全員だった。
入学早々にお咎めを受けた前田だが、当時の監督は彼の将来を見据えていたという。
「当時の監督には、彼を『20年度の東京五輪の候補選手として育てたい』との思いがありました。あの頃の前田は、高校生離れしたすごいスピードと強さを持っていました。そういった期待もあり、宝の持ち腐れになってはいけないと。1年生の初めで良い機会だと捉え、からかった5人全員を面倒見るつもりで指導しました」
この一件で学校の寮を出た前田だったが、“反省期間”には両親の協力もあった。
「寮から出すにあたって、彼の両親に説明をした上で協力をしてもらいました。前田の家では、大阪から出てきてくれたお母さんが彼と一緒に下宿生活をしてくれました。加えて精神的な修行をさせるため、パン店にお手伝いにも行かせました。実はそのパン店は、本校サッカー部のコーチの父親の家でした。そのつながりで、当時の監督が『将来的に有望な選手なので育てたい』と彼を託したんです」