第5回WBCで侍ジャパンが14年ぶりに王座奪還をしたこともあって、例年以上に盛り上がりを見せる今シーズンのプロ野球。開幕から2週間が経ち、各チームが熾烈な争いを繰り広げるなか、異例の通達が波紋を呼んでいる。
《球場での声出し応援が可能になっておりますが、観戦されるファンの皆様におかれましては、「選手を誹謗中傷するようなヤジ」や「侮辱的な替え歌」は絶対にお止め頂きますようお願いいたします。 選手を勇気付ける声援を送り、共に「A.R.E.」を目指して行きましょう!》
4月14日、Twitterにこう投稿したのは阪神タイガースの公式アカウント。「A.R.E.」とは岡田彰布監督(65)が“アレ”と呼ぶ優勝のことだ。
ここ数年、コロナ禍による感染防止対策として球場での“声出し応援”が禁止されていたが、規制緩和が進んだことで今シーズンから解禁。ようやく選手たちに生の声を届けることができるようになり、球場に集まったファンの応援にも熱が入っていたが――。
「球団がファンに向けてこうした通達をするのは異例のこと。味方、相手問わず選手への誹謗中傷や侮辱的な替え歌を歌う心ないファンはどの球団にも一部います。ただ、阪神は特に熱心なファンが多く、熱が入りすぎるあまりこうした失礼な行動がたびたび取り沙汰されてきたので、声出し解禁に際して改めて球団も注意をしたのではないでしょうか」(スポーツ紙記者)
12球団の中で唯一ファンに注意喚起した阪神。実は、かつて所属した元エースも阪神の“伝統”に苦言を呈したことがあった。
それは2021年1月2日に放送された『せやねん!新春SP』(毎日放送)内での、阪神OBである能見篤史氏(43)、鳥谷敬氏(41)、狩野恵輔氏(40)ら3氏の対談企画でのこと。鳥谷氏と狩野氏に阪神に関する本音をマルバツ形式で聞くコーナーになり、「タイガースには感謝をしている?」「タイガースでは悪い思い出よりいい思い出の方が多かった」といった直球の質問に2人は答えていく。
そして、「阪神ファンは最高だ」という質問に対して、マルとバツ両方の札をあげていたことを問われた能見氏は、「ほぼほぼがね、純粋に応援してくれる」としつつも、マナーの悪いファンについて「何回も見たことがある」とした上で、こう語ったのだ。
「『蛍の光』とかマジで改善してほしい」
能見氏が指摘した「蛍の光」とは、試合で阪神打線が相手投手をKOした際に、阪神の応援団が別れの歌や閉店BGMとしてお馴染みの蛍の光を相手投手に対して演奏するというもの。
これに対して、自身もピッチャーである能見氏は思うところがあったようで、「味方も敵も両方いい気はしない」とコメントしていた。
球団のみならず、かつてのエースからも注意される一部の阪神ファンの“アレレ”な応援マナー。「A.R.E.」を目指す阪神の足を引っ張らないことを祈るばかりだ。