■「2回飛び込んだ」からこそ分かった意外な変化
Aさんといっしょに和歌山からきたという友だちのBさんはこう語る。
「前はもっと人が集まっていた。人の数も多かったし、すごかった。飛び込む人の数も違うし、橋のまわりでもみんなもっと暴れていた。そもそも、警察の数が違ったし。あれだけ並ばれたら、何もできんよ。前は全裸になっているファンもいたけど、気軽にパンツも脱げませんわ(笑)。なので、仕方なく警察のいない遊歩道から飛び込むことにしました。
一応、その前に警察の人に確認はしました。『今から友だちが川に飛び込むと思うんですけど、そうなったら逮捕されますか?』って。そうしたら『逮捕はないです。ただ非常に危険が伴いますので、やめていただくようお願いしています。安全に気をつけてください』と言っていたので、それなら行こうということになりました」
そうしてダイブしたAさんだが、意外な変化を感じたという。
「水が綺麗になっていたんです。前はもう飛び込んだ瞬間、もう目がバチバチに痛くなってね。体中からドブのにおいがきつくて、たまらんくらい臭かった。でも今回は目も痛くなかったし、ドブのにおいもしなでしょ。ほら」
そうして記者に腕を差し出してきたAさんは、最後に「これならシャワーを浴びなくても、そのまま帰れるわ」と言って上機嫌で去っていった。
かつてはヘドロがたまり、悪臭のただよう「ゴミの川」とも呼ばれていたという道頓堀川。だが近年ではヘドロを除去し、堰の開閉時間を調整することで水質のきれいな水が流れ込むよう工夫。大腸菌を除去するシートを活用するなどして、水質浄化は以前とは比べものにならないほど進んでいるという。
ただし腸菌の数はまだまだ基準を超えており、水泳は不可とのこと。やはり、飛び込むのは控えたほうがよさそうだ。
そうはいっても水は浄化され、警察の警備は洗練され、阪神ファンも礼儀正しくなっていた。18年ぶりの阪神優勝が見せてくれたのは、そうした時代の流れを感じさせる光景だった。