「家族みんな『信じられない!』という気持ちでいっぱいです。まさか雄斗が、金メダルを取るなんて……。でも一生懸命頑張っていましたから、とてもうれしいです」
こう喜びを語るのは、スケートボード男子ストリートで金メダルを獲得した堀米雄斗選手(22)の母だ。堀米が6歳でスケボーを始めて以来、タクシー運転手の父・亮太さんと夫婦二人三脚でサポートしてきた。
「雄斗とはまだ会えていませんが、『本当に優勝おめでとう。お祝いするからすべて終わったら帰ってきてね!』とは伝えてあります」
堀米の実家近くにある蕎麦店の女性店員は、原石時代を明かしてくれた。
「ああ、雄斗なら昔から家族と一緒に良く食べに来ていましたよ。優勝後にテレビでインタビューされている姿をみると、受け答えもしっかりしてまるで優等生。でも昔はやんちゃ坊主でした。
毎日学校帰りにスケボーに乗ってうちにやってくると、『おばちゃん、腹減ったよ。エビでも何でもいいから食わせてよ。ちょうだい、ちょうだい!』っていうんです(笑)。お金も持たずにやってくるから、しょうがないなあって、芋の天ぷらなんかをあげていました。すると、『サンキュー、やったあ!!』って、嬉しそうに帰っていくの」
堀米がアメリカで成功した後も、店に訪れていると女性店員は続ける。
「海外で有名になって帰ってきても、真っ先に寄ってくれてね。『おばちゃん、今日は天ぷらそばで。なつかしいなあ』って、汁まで全部飲み干してくれて……。それで支払いはいつの間にか、ゴールドカード。
私が冗談で『雄斗、ずいぶん出世したねえ。取材を受ける時にはうちの店の名前を出して、美味しい蕎麦屋だって、宣伝するんだぞ』というと、『わかったよ』って(笑)。
『これからヨーロッパに試合しに行くんだ』ってときもうちに寄ってくれてね。時には『これから俺、六本木まで遊びに行くんだ』って、嬉しそうに話していた時もあって……。ああ、あのちびっこも大人になったんだなあってね、しみじみ感じたこともありましたね。なんにしろ、今や雄斗はこの町の誇りです。これからも頑張ってほしいです」