■大谷選手が明かした複雑胸中「僕の中ではまだ終わっていない」
大谷選手にとって水原被告は、エンゼルス時代から専属通訳を超えた“相棒”だった。車の運転手を務めるだけでなく、大谷選手の自主トレーニングをサポートするなど、公私にわたって常に行動をともにしてきた。
日本時間3月26日に開いた記者会見では、「悲しくてショックだった」と語っていた大谷選手。しかし自らを裏切った水原被告を、責めるような発言はなかった。そのことについて、『NHKスペシャル』でインタビュアーから「どういう思いからだったのか」と問われると、当時の心境をこう説明していた。
「どういう思い? 会見の時は、もう本当になんでしょう。正しいことを説明するというのが目的ではあったので。そこに集中というか、はい。このこと自体の正しい見通しというか、起きてることの状況説明ですよね。それがメインではあったので。そこに努めていたという感じですかね」
いっぽう大谷選手は、水原被告に対する複雑な胸中をこうも明かした。
「僕の中ではまだ終わっていないというか。まだ続いていることではあるので。今その時がどうだったか、みたいなことではなくて。それがずっと続いているという感じなんですけど」
当時、疑惑の目は大谷選手にも向けられ、開幕から40打席ホームランが打てない不調が続いていた。大谷選手は当時のコンディションについて「ちょっと睡眠が足りてないなっていう日が続いてました」と振り返り、「やることが多すぎて。色んな人と話さないといけないし、状況説明も含めてね」とコメント。対応すべきことが多く、時間に追われていたという。
とはいえ、持ち前の前向きなメンタルは維持していたようだ。騒動のなか「どのような精神状態で日々を送っていたのか」との質問には、こう答えていた。
「僕は僕で、別に負い目を感じることもないので。何を言われてもグラウンドで自分の仕事をしたいなというか。自分がむしろ好きで、ここまでちっちゃい頃からやってきて。やっと来れたこういうところで、そういう風に思ってプレーすること自体がもったいないというか。
まぁ、そこはそこ、ここはここ、みたいな感じではあったので。新しいチームで、自分も新しいスタートではあったので。あまりグラウンドと、プライベートというかグラウンド外のところで引きずるっていうのはなかったですかね」