「滝田(洋二郎)監督、西島(秀俊)さん、という、なかなか出会えない方たちとの映画づくりを楽しみに挑みました」
そう話すのは、公開中の主演映画『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』で、絶対味覚を持つ天才シェフ・佐々木充を熱演した二宮和也(34)。
「滝田組は素晴らしく現場が早かった。西島さんは満州時代を、僕は現代パートをそれぞれ演じて、絡みはないので、完成した映画を見たら、まるで別の作品のように楽しめました」(二宮・以下同)
映画『おくりびと』で米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田監督との初タッグにプレッシャーはあったのだろうか。
「プレッシャーはなかったです。滝田監督はとてもいい環境でお芝居をさせてくれる方でした」
これまでも数々の巨匠たちと懇意にしてきたニノ。何事にもひるまずに取り組む姿勢はぶれることはないようだ。そんなニノの感じる秋はどんなイメージなのか。
「食欲の秋、芸術の秋……って、○○の春、とか○○の夏ってあんまり聞かないのに、秋だけ無限に出てくるよね。自由に何でもできる季節だな、って思う。秋に食べたいもの? 僕は基本的にないものねだり。秋に秋の味覚を食べてもあまり何とも思わない(笑)。冬や春にサンマを食べると『ああ、いいね』って思うけど、秋にサンマがうまい、なんてわかっているし(笑)。むしろ、秋なのにこんなものが食べられるんだ! っていう意外なものがうれしいし魅力的かも(笑)」
食べ物に無頓着だと言うニノ。そこにはこんな理由があった。
「家庭の味に満足できなかったりすると、大人になって自分で稼いだお金でおいしいものを食べたくなったりするみたいだけど、家庭のご飯がおいしかったせいか、そんな思いをしなかった。それって幸せなことだよね」
ニノが最後に食べたいものは、やはり“お袋の味”なのだろうか。
「最後に食べたいのは、『お袋の作ったカレーです』って答えたら、お袋のカレーを食べるたびに『ああ、これ、死ぬ前に食べるやつだ』って思っちゃう(笑)。実家帰ってカレーが出るたびに変な気持ちになったり、だから、今まで食べたことがないものがいいな」