(写真・神奈川新聞社)
東京・渋谷を中心に、新宿、品川を含め計12カ所の大型ビジョンで投票を呼び掛けるCMを流す企画「GO VOTE
TOKYO」が始まった。9日までの1週間、1時間に1~2回のペースで流し続けるという。発案したのは20~30代の女性たち。「政治の話をするのがタブーという空気を払拭(ふっしょく)したい」と訴える。
企画が浮上したのは、わずか2カ月前。「お金もないし、モデルもいない。みんな仕事の合間でやりくりして、ここまでこぎ着けた」と話すのは共同代表で飲食店店員の藤井悠(はるか)さん(29)。3日、大勢の若者が行き交う渋谷のスクランブル交差点にある大型ビジョンから「未来を選ぼう!」「GO!VOTE」と、大音量のCMが流れると、ほっとした笑顔を見せた。
渋谷駅周辺では計10カ所で放映。新宿アルタ・ビジョンや品川駅近くの大型ビジョンも含め、計1600回超を流すのが目標だ。
フェイスブック(FB)などで賛同を呼び掛け、ホームページ(HP)開設やCM撮影、出演の多くは本業で実績を持つ人たちがボランティアで担った。費用はインターネットで寄付を募るクラウドファンディングで賄う予定で、今も協力を募っている。
もう一人の共同代表で作曲家の真白リョウさん(39)は「最初は巻き込まれて始めたような感じ」と笑う。ただ、思いはあった。「日本は政治に無関心な人が多い。投票率がおよそ50%というのはやはり低い。そこを変えたい」と話す。「みんなが動かないと、日本がまずい方向へ進む。憲法改正もそう。世界的に戦争の火種はたくさんある。若者の声がもっと必要」と危機感を明かす。
2人が知り合ったのは、2011年の原発事故がきっかけだ。放射能の影響を不安に思い、ブログなどで紹介する中で、真白さんの投稿を藤井さんがツイートしたところ「不安をあおるな」という趣旨の批判が殺到し“炎上”した。以来、藤井さんは食の安全に関心を深め、政治と生活が密接に関係していると実感するようになった。多くの反対がありながら強引に成立させた安保法制にはいまも疑問を抱く。「今回の企画は選挙や政治に興味のない人に向けて、関心を持ってもらうきっかけにするのが一番の狙い。おしゃれでかっこいいデザインで、そのハードルを下げたい」と期待している。
投開票日の7月10日には「とりまSENKYO観戦」と銘打って東京・JR原宿駅近くで開票速報を見るイベントを開催するという。詳細はHP(http://gvtokyo.wix.com/gv-t)。