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(写真・神奈川新聞社)

在日米陸軍が県内4カ所の施設で大規模な改修工事に乗り出す方針を固めたことが分かった。工事は大小約80件に及び、米国防総省本庁舎にちなんで「リトル・ペンタゴン」と呼ばれるキャンプ座間(座間、相模原市)の司令部庁舎の建て替えも含まれる。建築から半世紀以上が経過した建物が多く、修復が必要と判断した。

 

対象はキャンプ座間、相模原住宅地区(相模原市南区)、相模総合補給廠(しょう)(同市中央区)、横浜港にある米軍埠(ふ)頭(とう)の横浜ノースドック(横浜市神奈川区)。在日米陸軍基地管理本部広報室は神奈川新聞の取材に「施設全体の老朽化や安全対策のため」と答えた。

 

全体の工期は2016~22年度と計画されているが、「財源や軍事上のオペレーションに影響される」と説明。費用は主に米側が負担し、在日米軍再編協議の合意事項に関する工事は思いやり予算を含む日本側の予算措置となる見通しという。工費は明らかにしていない。

 

キャンプ座間で、ともに2階建てで1952年に建築された在日米陸軍司令部と基地管理本部司令部の庁舎2棟を建て替える。陸軍司令部庁舎は、五角形(ペンタゴン)の米国防総省本庁舎を模した独特な多角形の外観で、「リトル・ペンタゴン」と呼ばれる。2018年度以降に着工する計画で、新庁舎の設計は未定。座間には環太平洋を担う第1軍団前方司令部が駐留するが、建て替えに伴う司令機能の移転はないという。

 

キャンプ座間ではこのほか、正門の改修、消防署の建て替え、航空機用燃料タンクの交換、単身者用住宅の補修なども予定される。相模原住宅では正門の改修や保育園の補修、相模総合補給廠では正門の改修や変電所の建設、横浜ノースドックでは消防署の建て替えやコンテナ野積場の補修などが計画されている。

 

相模補給廠監視団の金子豊貴男・相模原市議は「司令部庁舎の建て替えは米軍基地の恒久化につながり、容認できない」と指摘。加山俊夫市長は「施設建設について情報提供はなく、国と米軍に求めていく」と述べた。

 

米陸軍は1950年、旧日本陸軍士官学校に司令部を設置。キャンプ座間が発足し、思いやり予算で米軍施設が整備された。旧日本陸軍の電信第1連隊施設と相模陸軍造兵廠、瑞穂ふ頭も連合軍に接収され、それぞれ相模原住宅、相模総合補給廠、横浜ノースドックとして米陸軍の管理下に置かれた。

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