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(写真・神奈川新聞社)

 

「日常の負担軽減だけでなく災害時は赤ちゃんの命をつなぐ。子育ての選択肢の一つにできるよう、社会全体で検討していきたい」

 

国の男女共同参画会議の専門調査会で発言した末永恵理さん(37)は、液体ミルクの国内解禁を求め、2年間にわたり署名活動に奔走してきた。官公庁や乳業メーカーを訪ねては、有用性を訴えてきた。

 

きっかけは2014年4月の長女誕生。母乳だけでは足りず粉ミルクを使った。2~3時間おきに湯を沸かし、哺乳瓶を消毒。ミルクを溶き冷ます間も、娘は泣き続ける。外出時は常に調乳用の湯と水を魔法瓶に入れ持ち歩く。寝不足も続き「出産前は想像もできないほど体力的、精神的につらかった」。

 

海外では広く普及している液体ミルクがあれば、子育て環境を改善できるのではと考えたが、厚生労働省は「メーカー側から安全を示すデータが提示されないと法整備に進めない」。メーカーは「消費者のニーズがどれほどあるか分からない」との回答だった。

 

ならば、液体ミルクを必要とする消費者の声を届けようと、署名活動を始めたのは14年11月。スタートから今年4月までに約1万2,500人分が集まり、熊本地震以降に急増し4万人を突破した。緊急支援物資としてフィンランドから約5千パックが無償提供されたことが、後押しした。

 

断水、水道水の濁り…。東日本大震災で被災した女性は「生後20日の子にあげる母乳がストレスで出なかった」「ミルクが用意できず、7カ月の子に菓子パンをあげた」。熊本地震で3カ月の子と避難生活を強いられた熊本県の女性は「調乳やほ乳瓶洗浄のための水確保が本当に本当に大変」…。

 

寄せられた切実な声に、末永さんは、確信している。「潜在的なニーズはまだある」

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