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(写真・神奈川新聞社)

 

米海軍横須賀基地(横須賀市)に配備されているイージス巡洋艦「アンティータム」から油が流出した事故で、同艦が同基地付近の海域で停泊中に浅瀬に接触し、スクリューを損傷していたことが1日、分かった。同艦から油圧作動油が最大約1,100ガロン(約4,160リットル)流出した。

 

同基地司令部によると、事故は1月31日午前10時ごろ、同基地北東の制限水域内で発生した。同艦が停泊中、浅瀬に接触しスクリューが破損。タグボートの支援を受けて、同基地に帰港した。けが人はいなかった。米海軍が損傷の程度や事故原因を調べている。

 

同基地司令部は31日夜、事故原因を「機関トラブル」と発表したが、翌1日に「巡洋艦が浅瀬に接触した」と発表した。

 

横須賀海上保安部は1月31日午後4時間半ごろに米海軍から連絡を受け、翌1日午後6時ごろにかけて巡視艇とヘリコプターで周辺海域を調べたが、流出した油は確認できなかった。米海軍の船舶が海上や海岸線で確認作業を行っている。

 

同艦は全長約173メートル。1987年に就役し、2013年にイージス巡洋艦「カウペンス」と交代して横須賀に配備された。対空防衛を主な任務としている。

 

■発生33時間後 市に連絡

 

地元の横須賀市に巡洋艦による浅瀬への接触事故の正確な連絡が入ったのは、発生から約33時間後の1日夜。最大約4,160リットルとされる油の行方も確認できておらず、米海軍の危機管理体制の不備があらためて浮き彫りになった。

 

防衛省南関東防衛局を通じて油漏れの一報を受けた1月31日夜以降、市は周辺海域の環境対策を求め、流出量や種類、流出後の状況などの情報提供を米海軍に要請。だが、速やかな回答は得られず、事故を伝える報道の確認にも追われた。

 

在日米軍の事件・事故の通報手続きは1997年の日米合同委員会で、米軍が現地防衛局を通じて速やかに自治体へ連絡することで合意している。だが、2003年に起きた空母キティホークの油流出事故でも、市に正確な情報が入ったのは3日後になるなど、かねて通報の遅れが指摘されていた。

 

今回も米海軍は当初、事故原因を「機関トラブル」と説明し、浅瀬への接触については言及しなかった。横須賀基地司令部は「まず油漏れの事実を公表した」と弁明するが、基地の北東とする事故現場の詳細や、停泊中の巡洋艦がなぜ浅瀬に接触したのかについても調査中としている。

 

米原子力空母の母港化に反対する呉東正彦弁護士は「通報が遅いのではないか。日本の船ならば許されない。一歩間違えれば大変なことになりかねない」と米海軍の対応を批判している。

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