(写真:市民提供・写真の一部を修整しています/神奈川新聞社)
厚木基地(大和、綾瀬市)で29日に行われた基地開放イベント「日米親善春祭り」で、米軍のヘリコプターに搭載された銃器が、子どもを含む見学者が自由に触れることのできる状態で展示されていたことが、30日分かった。大和、綾瀬市が米側に抗議。米軍による一般市民の銃体験問題は、2013年にも米海軍横須賀基地(横須賀市)で発生しており、市民団体は「教訓が生かされていない」と批判している。
両市や在日米海軍厚木基地によると、問題の銃器は、ヘリコプター1機に搭載。子どもを含む見学者からの求めに応じ、発射機能や弾薬を取り外した状態で触らせていた。市民団体「県平和委員会」によると、ヘリコプターは米原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機で、銃器は機関銃2丁と小銃2丁の計4丁。
綾瀬市によると、情報を得た市議からの連絡を受け、担当職員が同基地で、来場者がヘリコプターに乗り込んで銃器に触れているのを確認。同基地に口頭で「遺憾に思う」などと抗議した。大和市も職員が目撃し、担当部署が「好ましくない。銃器の取り扱いは慎重に行ってほしい」と口頭で伝えた。
同基地は抗議について「懸念があれば真摯(しんし)に受け止める」としている。
同イベントは恒例の人気企画。R・レーガンの艦載機や海上自衛隊の哨戒機などが展示され、県内外から約9万人が訪れた。
13年8月にも横須賀基地の開放イベントで、本物の銃器を米兵が子どもら見学者に触らせていた。発覚後、基地司令官は「文化的な背景の違いから一部の方々に対し、意図せず大変不快な思いをさせてしまった。今後は同様のことが起こらぬよう、最大限配慮していく」と釈明していた。
■周囲に銃口、親子連れも
県平和委員会の40代の男性が現場を目撃したのは29日午前10時すぎ。滑走路に駐機したヘリコプター1機の両側面に二つずつ窓があり、機関銃と自動小銃が各1丁ずつ取り付けられていた。来場者が自由に機内に入り、外に向けて銃を握れるようになっていた。
周囲には人だかりができ、来場者が次々と機内に入っていた。「前の人がやったから自分も、という感じ。自然とみんなが銃を握る流れができていた」。親子連れの姿も多く見られ、疑問を呈する人はおらず、周囲の人に銃口を向け、記念撮影をする人もいた。傍らの米兵が順番に来場者を入れ、子どもに構え方を教えてもいたという。
その後、男性は綾瀬、座間市の市議に連絡。午後2時ごろに戻った際は、機内に入って銃を構えることはできなくなっていたが、外から触ることはできたという。
男性は「銃体験をさせることは武器への抵抗をなくす。特に国際情勢が緊迫化している中では非常に危険」と指摘。「原子力空母の母港化を阻止する三浦半島連絡会」の新倉泰雄事務局長は「横須賀での教訓が引き継がれていない。基地開放イベントでの銃器の展示はやめるべきだ」と訴えている。