(写真・神奈川新聞社)
2020年東京五輪・パラリンピックの費用負担問題を巡り、県内で最大の焦点となっている江の島でのセーリング競技開催に伴う漁業補償などについて、県以外が負担する方向で最終調整していることが30日、関係者への取材で分かった。31日に各組織のトップが集まる会合で大枠が示され、合意する見通し。運営費の一部で不透明さが残るものの、黒岩祐治知事が再三訴えてきた「原理原則の順守」にほぼ沿った形で決着しそうだ。 複数の関係者によると、江の島会場の運営費に関し、大会組織委員会が負担する方向で調整が進んでいるのは、▽レース海面の設定に応じて生じる定置網の撤去や大会期間中の漁獲範囲規制に伴う漁業補償▽島内に保管されているヨットなど約千艇の移動・係留費▽選手村の分村として利用予定の大磯プリンスホテルの賃借料-など。
県の試算によると、観客席やメディアセンターといった仮設施設整備費を含む総額は約80億円。五輪招致時の立候補ファイルに基づき、組織委が資金不足の際は東京都や国が穴埋めする。
一方、運営費のうち都外の開催自治体に負担を求めるとされる350億円については、県は詳細を見極めた上で判断するとみられる。黒岩知事は30日、取材に対し「調整中の段階で何の数字か分からない。原理原則を崩すような数字なら受け入れない」と説明。ただ、立候補ファイルに明記されている警備や医療、輸送費など通常の行政サービスに要する経費ならば「当然負担する」としている。江の島でのテスト大会は来年夏に迫っているため、黒岩知事は昨年12月から立候補ファイルの原理原則に基づいて組織委や都、国が全額負担するよう求めていた。
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