(写真・神奈川新聞社)
横浜・八景島シーパラダイス(横浜市金沢区)で5月から8月にかけて、研究機関から譲渡された希少な深海生物約90匹が全滅していたことが分かった。同施設を運営する横浜八景島(同区)は、水槽内の水温をコントロールしている冷却設備の故障が主な原因としている。
同社によると、死んだのは魚の「ヤマトコブシカジカ」8匹と、イソギンチャクの一種「シンカイハクトウギンチャク」80匹。深海エビにも影響が出ている模様。今年3月、国立研究開発法人海洋研究開発機構(横須賀市)の研究室閉鎖に伴って引き渡された。運搬時のストレスなどで一部の個体が死んだが、その後は安定して飼育していた。一般公開の予定もあった。
全滅の大きな原因になったのは、5月の冷却設備故障。9日夜から翌10日朝までの間に壊れ、4度までに保っていた水温が10度以上に上昇した。毎朝の開館前の点検で職員が気付き設備を交換したが、カジカは6月25日までに、イソギンチャクは8月9日までに全滅した。設備の故障時には異常を示す照明が点灯するようになっていたが、バックヤードで飼育していたことから発見が遅れた。
同社は8月に同法人と調査を行い、冷却設備の故障に加えて、同施設に深海生物の飼育経験が不足していること、ノウハウの引き継ぎが不十分だったことなども原因だったと判断した。冷却設備の故障原因は調査中としている。
同社担当者は「これからも真摯(しんし)に生き物と向き合い、海洋研究開発機構と協力して飼育技術の向上に努めたい」としている。
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