(写真・神奈川新聞社)
プロ野球の横浜DeNAベイスターズが新たな野球を創造する、「超☆野球・開発プロジェクト」を進めている。1日の横浜スタジアム(横浜市中区)での広島戦前には、二つの企画がファンにお披露目された。
ラクロスの網を装着したアームに球を入れて振りかぶると、腕がしなる原理でボールが放たれる。これが「誰でも剛速球が投げられるツール」。開発に携わった高橋哲さん(41)が説明する。
「2倍の長さの腕で投げている感じ。原理としては、時速150キロを投げる人が使えば300キロが出る」。製作期間は2カ月余り。開発途上だが、体験した会社員前田めぐみさん(26)は、「自分が投げるよりもズバッと良い球がいった」と驚いた。
もう一つの企画は手のひらサイズの光る星形グッズ。グッズ同士を接触させれば発光する仕組みで、ファンの交流のきっかけとなる。また球場への通り沿いにグッズに呼応するライトを埋め込み、歩くと自分が光を誘導するような気分になるというアイデアだ。
プロジェクトを担当した球団の石野貴久さん(33)は「ファンが町の雰囲気づくりに参加したり、町と一体になれるという、もう一歩踏み込んだ関わり方を自然と演出できる」と語る。
プロジェクトは今年2月に始動。一般を含めてアイデアを募集し、約150の中から最終的に二つが選ばれた。今までの野球を超えた、新しいスポーツとしての野球を創り出すことが目標だ。
落選したアイデアの中には、回転数によって発光する色が変わるボールの開発もあった。いわゆる「伸びのあるボール」はスピンがよく利いているが、可視化することで同じ140キロでも、プロのすごさを分かってもらえるのではというアイデアだ。
石野さんは「道具を使ってプロのレベルを体感してもらったり、野球の『なぜ』に答えたりする。そこで面白さに気づくことで、野球を身近に感じてもらったり、新たな可能性が生まれたらうれしい」と語る。プロジェクトは現時点で試案の段階だが、今後球団として本格的に取り組む可能性もあるという。