(写真・神奈川新聞)
全国有数のマグロ水揚げ基地である三崎漁港(三浦市)に4月中旬、日本初の冷凍マグロ専用の低温卸売市場がオープンする。既存施設では生鮮魚が同じ空間で取引されていたため温度管理が難しかったが、完全閉鎖型の建物内で冷凍マグロだけを低温管理。品質を高め、衛生管理を徹底することで、ブランド力の強化やピーク時の4分の1以下となった取扱高の拡大を図ろうと市が整備した。
新市場は既存の市場に隣接する場所に整備され、鉄骨造の2階建て。延べ床面積は約3200平方メートルで、外気の遮断を徹底するために搬出入り口のシャッターは二重構造で、取引の場となる陳列室の気温は15度に保たれる。
魚体が傷つかないよう、床面を滑りやすく塗装。外部からの異物混入防止も兼ね、特殊な靴底の長靴着用を利用者に義務付ける。取引の様子は、ガラス越しで2階通路から見学できる。4月中旬にも取引を開始する予定。
水産庁は特定第3種漁港の一つである三崎漁港の高度衛生管理基本計画を2015年5月に策定。市が補助金を活用して、16年12月から建設工事に着手した。総工費は約19億6千万円で、既存の市場改修も18年度から実施する。
新市場開設を機に、市はマグロ船誘致に取り組むほか、国際見本市へ出展する事業者への助成などを通じて三崎ブランドの浸透を図っていく。食品衛生管理の基準「HACCP(ハサップ)」取得の準備も進める予定だ。
市の水揚げ高統計によると、三崎魚市場の取扱量は1968年の約9万5千トンがピーク。国際的な漁獲規制の影響などを受け、2006年以降は5万トンを割り込み、ここ数年は2万トン台で推移している。市は「反転攻勢をかけて港のにぎわいを取り戻したい。多くのマグロ船が停泊すれば、市内経済の活性化にもつながる」と意気込む。
18日には関係者を招いて竣工(しゅんこう)式が行われるほか、記念イベントとして、市場付近の複合施設「うらり」でマグロをテーマにした講演やパネル展示、試食会を開催。新市場は午後4時から一般公開される。