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(写真・琉球新報社)

野外体験を楽しみながらホテル並みの宿泊ができるとして、欧米を中心に人気が広がる「グランピング」施設が名護市の屋我地島で10月10日に開業する。運営するナンマムイネイチャーリゾート(名護市饒平名)の大朝(おおとも)将嗣オーナー(61)によると、県内では初の大型グランピング施設で、屋我地の自然を最大限に活用し、“大人の探検場”として県内外の30~60代に「やんばるならでは」の観光体験を提供する。自然・文化体験などを案内するガイドは自社で育成し、観光を通した人材育成も手掛ける。

 

グランピングはグラマラス(豪華)とキャンピングを合わせた造語。あらかじめ設置されたテントを使うことで、野外体験に伴う宿泊客の負担を軽減する一方、テント内にはベッドや空調を完備し、快適な客室環境を提供する。

 

約99アールの敷地に8棟のテントがある。テント内には冷蔵庫もあり、2~4人が宿泊できる。各テントのそばには総檜(ひのき)造りのトイレ・シャワールームも設置されている。

 

宿泊客には同社のガイド1人が付き、滞在中の案内、相談事全てを担当するコンシェルジュのような役割を担う。将来的には体験ガイドにとどまらず、自然や歴史・文化を説明し、やんばるの魅力を内外に発信する人材を育てる。

 

ガイドの一人、川端政人さん(31)はツアーガイド歴10年の経験があり「一度だけでなく次も来てくれるよう(相手が望む)ピンポイントのサービスを提供したい」と語る。川端さんの提案で、県内では少ない足こぎ式のカヌーも導入。手こぎに比べ速度があり、長時間利用できる利点を生かし、羽地内海での海上レジャーも幅を広げる。

 

敷地は国指定鳥獣保護区になっていることから、舗装やテントを設置するウッドデッキなど人工部分は必要最小限にとどめ、屋我地の原風景を残している。海のレジャーだけでなく森の散策にも対応する。

 

台風時や病気・けがなどの緊急時は隣接するアロハホテルに移動できる体制を整え、宿泊客の不安も解消する。8月からレストランが先行開業している。県が目標とする観光客1千万人に向け、客室数の不足が指摘される中、大朝さんは「インバウンド(訪日外国人客)を意識し新たな観光(の形)を提供する。人を育てることが地域貢献にもつながる」と語った。宿泊価格は今後設定する。問い合わせは同社(電話)0980(52)8686。

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