琉球藍やフクギで染織した洋服や琉球かすり、芭蕉布などを用いて服飾デザインをするLEQUIOの嘉数義成さん=宜野湾市喜友名のLEQUIO
(写真・琉球新報社)
目の前に米軍基地が広がる。遠方にはコバルトブルーの海。基地のフェンスに面した宜野湾市喜友名の普天間でいご通り付近の高台に、ファッションブランド「LEQUIO」(レキオ)の本社兼店舗がある。白い建物内に藍染めやフクギ染め、ウージ染めなど沖縄の素材を取り入れた服が並ぶ。デザイナー兼代表の嘉数義成(よしなり)さん(32)が、作品の魅力を語ってくれた。
基地の町コザ(現沖縄市)で生まれ育ち、小さい頃から母の琉球舞踊稽古場に出入りした。師範や生徒が着るかすり、紅型は身近な存在だった。18歳から県内の専門学校に通い、洋裁を学んだ。その後、アパレルメーカーを経て21歳で独立し、6年ほどフリーデザイナーとして作品をセレクトショップなどに卸していた。だが、「自分の商品を買うお客さんの顔を見たことがない」と気づき、2009年にふるさとコザと環境が近い今の場所に店を開いた。
「沖縄でできる物、沖縄ならではの物、自分にしかできない物は何だろう」を常に自問自答した。沖縄の素材を作品に取り入れようとしたきっかけは、稽古場に保管されていた芭蕉布との出合いだった。「芭蕉布は曽祖母が織った野良着で、100年以上も前に作られていた。それを見たとき自然に涙がでてくるような自分のルーツを感じた」。この土地でしか生まれない色合いや技法をブランドのコンセプトにしたかった。東村などの天然の樹木から染料を取り、洋服作りに着手する。染織をはじめ、織りなど全ての工程に自ら関わっている。
作品は生地の染織からスタートし、デザイン、型紙(設計図)を作る。その後、仮縫いし、サンプルの制作に入る。サンプルの修正が終われば製品化の段階となり、最終的に県内の縫製工場と交渉する。一つのデザインから生まれる服は約100着だ。
新たなデザインを探し出すために、常に国内外を飛び回る。月の半分は県外にいることも。店舗を設立してから15年。現在県内にとどまらず、イギリスや台湾など海外にもレキオブランドの商品を販売している。沖縄の素材を生かした作品をこれからも世界に羽ばたかせていく。