沖縄本島内の巡回に出発する沖縄・地域安全パトロール隊=2016年6月15日夕、那覇市の沖縄総合事務局
(写真・琉球新報社)
米軍属女性暴行殺人事件の再発防止策として政府が創設した「沖縄・地域安全パトロール隊」の要員が7月下旬以降、沖縄総合事務局と沖縄防衛局以外に気象台や税関、労働局など国の出先15機関の職員に拡大していることが31日、分かった。労組から「平常業務に影響を与える」として中止を求める声が相次いでいる。
パトロールは基本的に管理職が担うが、防衛局では一般職員も対象とし、パトロールのために午後からの出勤にするなどの対応を取っている。
政府の計画では、総合事務局で非常勤職員を雇用し、100台規模の車両でパトロールするものだったが、現在は約50台で非常勤職員の採用も目標に達していない。総合事務局は「できる範囲で各官署にお願いしている」としている。
出先機関のうち5官署に労組支部がある沖縄国公労は「機関の所掌事務を逸脱する行為を強制するもので決して看過できない」として7月25日に菅義偉官房長官宛てに中止などを求める要請書を送った。沖縄気象台の労組・気象支部も「平常業務や出張に影響を与え、同僚にも迷惑を掛ける」として4日に大島広美台長に中止を申し入れた。
1府7省などの職員で組織する国公労連は「(パトロールは)一過性の対策で実効性は期待できない」とする談話を7月1日に発表。単組の総合事務局開発建設労組も8月1日の団体交渉で当局をただした。
対象の官署はほかに沖縄国税事務所、那覇植物防疫事務所、動物検疫所沖縄支所、大阪航空局那覇空港事務所、沖縄総合通信事務所、沖縄行政評価事務所、第11管区海上保安本部、那覇地方検察庁、那覇拘置所、福岡入国管理局那覇支局、那覇自然環境事務所、外務省沖縄事務所。(金良孝矢)