沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場=2017年1月
(写真・琉球新報社)
安倍晋三首相は14日の衆院予算委で、政府と県が約束している2019年2月までの米軍普天間飛行場の運用停止(5年以内運用停止)について「残念ながら翁長雄志知事に協力していただけていない。難しい状況だ」と述べ、翁長知事の姿勢を理由に実現困難とした。19年2月の期限まで残り2年となる中、首相が運用停止を困難視するのは初めて。赤嶺政賢氏(共産)の質問に答えた。
赤嶺氏は佐喜真淳宜野湾市長が昨年12月、政府に対し「日米両政府及び沖縄県」があらゆる方策で5年以内の運用停止など普天間飛行場の危険性除去を要請したことを挙げ、日米首脳会談で安倍首相がトランプ米大統領に要求したか確認した。
安倍首相は「詳細は差し控える」と明言を避けながら、沖縄の負担軽減を求めたことを説明した。その上で、5年以内の運用停止は、普天間の移設先となる名護市辺野古の新基地建設で「地元の協力が得られることが前提」だと主張した。
翁長知事が新基地建設に反対していることから「根本のところで全くご協力いただけていない」などと述べ、5年以内の運用停止が実現しない理由を翁長知事に責任転嫁した。
防衛省は普天間飛行場で施設補修として雨水排水施設の整備事業などを今後2~3年間行うとしている。そのため、赤嶺氏は「全くやる気がないことの現れだ。5年以内の運用停止を放棄したということではないか」と安倍首相を問いただした。だが、安倍首相は答弁せず、防衛省の深山延暁地方協力局長が「普天間の固定化につながるものではない」と否定する答弁にとどめた。
5年以内の運用停止については、仲井真弘多前知事が2013年12月、沖縄政策協議会で安倍首相に要請。安倍首相も「最大限実現するよう努力したい」と受け入れた。14年4月に普天間飛行場負担軽減推進作業部会で運用停止期限を19年2月に設定し、14年10月に「全力で取り組む」との答弁書を閣議決定した。