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4人の母親である沖縄県西原町の上間朝子さん(36)が12日、沖縄歯科衛生士学校を首席で卒業した。歯科衛生士になることを夢見て、歯科助手として勤務していた浦添市内の歯科医院を33歳で退職。2014年に同校に入学した。「部活をしている娘や3歳の息子もいて、家事と学業の両立ができるか不安だった」という上間さんだが、夫の安彦さん(37)が「やってみないと分からないよ」と背中を押してくれた。夫や子どもたちの支えを受けて優秀な成績で資格を取得した上間さんは、4月から以前勤務していた歯科医院で、歯科衛生士として第一歩を踏み出す。

 

上間さんは06年から浦添市のサザン歯科まえだで歯科助手を勤め始め、12年までに2男2女をもうけた。家計は自営業を営む夫の安彦さんと2人で支え、にぎやかな生活を送っていた。

 

 歯科助手としてよく老人ホームに出掛けた。十分に手入れのできていない入れ歯を装着する高齢者や、胃に直接通した管で栄養摂取する人を見掛けた。「自分の歯で食事してほしい」。口腔(こうくう)ケアすることで感染症を予防できるほか、健康寿命も延びるという。「口腔ケアのできる歯科衛生士になりたい」

 

 だが、頭に浮かんだのは家族の存在。「資格取得のために仕事を辞めて学校に通ったら、夫に経済的負担を掛けてしまう」。上間さんは高校時代、理学療法士を目指しながらも途中で勉強をやめてしまった経験がある。「今ここで挑戦しないと、過去の後悔を乗り越えられないのではないか」。夫や子どもたちにも相談し、14年、沖縄歯科衛生士学校の門をたたいた。

 

 在学中、中学生から3歳児までの子どもたちが洗濯物を畳んだり、食事の準備を手伝ってくれたりした。「今こそ必死にならなきゃ」。家族の支えを一身に受け、勉学に励んだ。成績は常に上位。見事、国家試験に合格し、4月からは念願の歯科衛生士として、以前の勤務先で働く。

 

 12日の卒業式では、卒業生代表として登壇し、あいさつした。「私がここまでやってこれたのも、大好きな家族の存在があったから。私は多くの人に支えられていることに改めて気付くことができた」

 

 少し離れた席に座り、家族は大きな拍手を送った。長女の美愛(みあ)さん(17)は「私たちを育てながら、いつも勉強しているお母さんを見ていた。尊敬している」と目を潤ませた。(嘉数陽)

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